Blu-ray 3D再生環境を安上がりで作る方法

Blu-ray 3D『攻殻機動隊S.A.C. SOLID STATE SOCIETY -ANOTHER DIMENSION- 電脳化BOX IN 3D』の発売が近づきつつあるので、Blu-ray 3D再生環境を安上がりで作る方法を考えてみる。

そのまえにこの『電脳化BOX』だが、これは2DのBDと、3DのBDがセットになっている。3D再生環境のある人なら「3DのBDだけあればいい」と思うかもしれないが、3D画像の場合、右目用の映像情報と、左目用の映像情報、単純に考えて2倍の情報量が必要になる。そのためBlu-ray 3D画像は、解像度など画質の点だけで言うと、2Dよりも劣ってしまう(将来BD規格が拡張されればこの欠点も克服されるかも知れないが)。さらに、BGVなどとして再生するなら、メガネをかけなければならない3Dよりも2Dのほうが都合がいいだろう。そのため現在は、この『電脳化BOX』を含め、Blu-ray 3Dのソフトも2DのBDと一緒に売りたいという状況のようだ。

プレイヤーを選ぶ

「Blu-ray 3D再生環境を安上がりで作る」という本題に入りたい。まずはプレイヤーだが、“コストパフォーマンス”という点ではPlayStation3で決まりだろう。PS3はアップデートでBlu-ray 3Dに対応したほか、当然ながらPS3のゲーム(またPS1のゲーム)を遊ぶこともできるし、一部のゲームは3D表示にも対応している。それにtorneを接続すれば地デジの録画再生も可能となる。もしHDD容量が足りなければ、USB接続HDDを増設することも可能。BD-Rなどへの保存こそできないが、「見たら消すだけ。欲しいときはソフトを買う」なら、そこいらのレコーダーよりよほど使い勝手が言い。

ただ弱点もある。PS3でBD 3Dを再生時、音声出力フォーマットがドルビーTrueHDの場合、ドルビーデジタルとして出力されるほか、DTS-HDの場合はDTSとして出力されるという制限がある。しかし音質にそこまでこだわりがないなら、「TrueHDやDTS-HDでなくてもいい」と思うだろう。

また現在の所、PS3用BS・CSチューナーは存在しないため、BS・CSでの3D放送を見ることができない。この制限が嫌ならばBS・CS 3D放送とBlu-ray 3D対応のBD・HDDレコーダを購入するのが一番いいが、今回の趣旨の“安上がり”から逸れるので省かせていただく。あとは標準のPS3コントローラーだと多少AV操作がやりにくいが、その場合は別売りのリモコンを導入するという手もある。PS3用AVリモコンは新型が発売されており、赤外線でアンプやTVを操作することも可能になっている。このリモコン、BS3との接続はBluetoothのため本体の方向に向ける必要が無く、下手なBDプレイヤー用リモコンよりも使い勝手がいい。

【新製品レビュー】赤外線対応のPS3用新BDリモコンを使ってみる -AV Watch

PS3といえば最近は情報流出の件で騒がれているが、とりあえずBD再生に限れば不安に思う必要は無いだろう。5月16日現在、日本のPlaystation Networkはまだ停止されたままだが、本体のファームウェアアップデートは可能であり、個人情報を入力する必要も無い。

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ディスプレイを選ぶ

3D対応テレビはだいたい大型になってしまい、自動的に値段が上がる。さらに3Dメガネは別売りのことが多い。そこで、3Dメガネ付属のPC用ディスプレイから捜してみる。

4Gamer.net ― LG,偏光方式を採用した23インチ3D立体視ディスプレイを発表。メガネや「立体視化ソフト」も付属して3万円で発売

実売が3万円と、とにかく安い。しかし記事中にもあるように、画質が少々不安である。

4Gamer.net ― 三菱電機,偏光方式の3D立体視に対応した23インチIPS液晶ディスプレイを発売

こちらは先のLGのものよりも価格が高いが、画質的により信頼が置けるし、さらにHDMI×2、HDCP対応DVI-D×1、D5×1、アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1と、入力端子が多いのが魅力だ。個人的には、HDMIが2つついているのがありがたい。

これらのディスプレイ単体では地デジなどを見ることはできないが、torneと組み合わせれば『録画した地デジ番組を見る」ことは可能。PS3ではなくPCに地デジチューナーをつければ、映像をBDなどに保存することも、やりようによっては可能である(もちろん普通のBDレコーダを接続してもいい)。また23インチは「でかいTVを置く場所がない」という人にとっても都合がいい。またこれらのディスプレイは、3Dメガネが付属しており、別途購入の必要が無い。

しかしどのディスプレイを選ぶにしても、大きな問題となるのが「付属の3Dメガネは使用者に合うのか」という点である。特に、普段から視力矯正用眼鏡をかけている人や、頭が大きめの人にとっては、3Dメガネが自分に合わず、非常に不快な思いをする可能性がある。実際に映画館へ3D映画を見に行って、経験したことがある人もいるだろう。さらに3D映画を見るだけなら2時間程度で終わるが、PS3で3Dゲームをやるとなるとそれ以上の時間メガネをかけっぱなしになることも有り得る。そうなると、メガネ選択はさらに重要なポイントになってくるため、できれば店頭で確認したい。逆に言えば、映画館に行っても3Dメガネの問題で困ったことがないという人なら、安いところを通販で捜してさくっと買ってしまってもいいかもしれない。

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音響を考えてみる

さて、折角映像が立体的になったのだから、音響も立体的にしてみたい。そこでサラウンドシステム構築を考えてみる。

PS3の場合、サラウンド音声出力をHDMIと光出力のどちらで出すかを選択することができる。HDMIだと7.1ch、光だと5.1chまでが可能だ。

理想を言えば、PS3→HDMI対応7.1chアンプ→ディスプレイと、全てHDMIで接続するのがいい。アンプにしておけば「最初はスピーカーの数を少なくしておいて、あとから増やす」という選択も可能だし、全てHDMI接続にしておけば、将来HDMI対応機器を増やしたとき(新しくBDレコーダーを購入したり、大型3Dテレビを購入したりしたときなど)にも対応しやすい(もちろん、アンプのHDMI入出力端子の数にも寄るが)。

また、HDMI対応7.1chアンプは各種メーカーから出ているので選択肢も多い。しかしHDMIアンプを購入してスピーカーを購入して……となると、これだけでPS3+ディスプレイよりも値段が高くなってしまう可能性がある。また、スピーカーを6つも8つも家に置けないという人もいるだろう。

そこで7.1chを諦め、HDMIではなくアンプとは光接続にし、アンプとスピーカー一体型の、2.1chで疑似サラウンド環境を再現するフロントサラウンドシステムを導入すれば安上がりになる。また、部屋の環境で音をあまり鳴らしたくない場合などは、バーチャルサラウンド対応ヘッドホンを導入するという手もある。

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PCでの再生を考える

もし、現在使用しているPCにBDドライブがあり、BDの3D再生に対応したグラフィックカードを既に持っているならば、ディスプレイとBD再生プレイヤーを買うほうが安いかもしれない(対応グラフィックカードについてはこちら)。さらに最新のPower DVDには、2DのDVD(BDではない)を、自動的に3Dに変換して表示する機能もついている。

【笠原一輝のユビキタス情報局】 PowerDVD 10に実装されたDVDビデオの3D変換機能を試す

またPCを使えば、(BDとは直接関係ないが)nVidia 3D対応グラフィックカードとnVidia 3D Visionを使用して、既存の3Dゲームを立体視で見ることもできる。

【小寺信良の週刊 Electric Zooma!】第480回:NVIDIA 3D Visionで始める3D on PC -AV Watch