チャットだけではタイピングは鍛えられない

脳を繋ぐテキストチャット、空間を繋ぐビデオチャット

かつては私もチャットでタイピングを鍛えられたものだ。

インターネットでは、ヴァチカンのサイトを見たい時でもリヒテンシュタインのサイトを見たい時でも、接続するには自分にとって一番近いISPに接続すればいい。そうすれば情報は勝手に世界あちこちのホストを経由して自分の元へ届く。だがパソコン通信の時代は違った。
NiftyやPC-VANなど日本の各地にアクセスポイントを持っている有料BBSでは最寄りのアクセスポイントに接続すればいいが、個人が運営している無料(草の根)のパソコン通信BBSでは、実際にホストのある場所に電話をかけなければならなかった。
それで私は、よく北海道から関東のアクセスポイントに接続していた。距離が170kmを超えると(北海道から道外ならまず間違いなく170km以上になる!)、深夜でも12.5秒で10円の電話料金だ。だからチャットするにも、単純なBBSのコマンドをタイプするにもとにかく早さが要求される。

そんなわけで私はチャットと、BBSへの書き込みでタイピングを鍛えられたのだが、本格的なブラインドタッチが出来るようになったのはただひたすらキーを叩くだけでは駄目だった。キーの位置を覚えるだけではなく、どのキーをどの指が叩くかを体で覚えなければならないからだ。そのためにはまともに訓練する必要がある。それで、左手人差し指で押すキーは4、R、F、V、中指が3、E、D、C……とやっていくわけだ。
よくタイピングゲームにも「右手中指の練習」とかで、そうやって単純なキー入力をするプログラムがあるが、これがかなり重要なのである。