新しいローマ法王は、本命だったドイツ人のラツィンガー枢機卿団長~ベネディクト16世に決まった。今回の法王選出については、「アフリカや南米など第三世界の人物を」という声があった。そもそもヨハネ・パウロ二世が前枢機卿に選ばれたのは、「鉄のカーテンの向こう側(共産主義国)の出身だから」というのが大きく影響したとされている。そういう意味では「今回は中共(中国)の枢機卿を~」という話もあったりしたが(中国出身の枢機卿がいるかは不明。ただ氏名を明かされていない枢機卿が中国出身なのではという説があるそうだ)。
さて、今後のヴァチカンで、個人的に注目している2つの点がある。
一つはエイズ問題。ヨハネ・パウロ二世は保守派で、避妊具の使用を認めてこなかった。そのため国連が、アフリカなどでのエイズ対策の柱としている避妊具の配布に大きな障害となっていたわけだが、今回改革派の法王が誕生すれば、この状況が改善されるのではという期待があった。だが今回保守派(とされる)法王がまた誕生したことにより、その希望がまた遠のいてしまったと言える。
もう一つは台湾、中国との国交問題。
ヴァチカンは中国の代わりに台湾と正式な国交を結んでいる、ヨーロッパで唯一の国である。当然これには中国の人権抑圧が大きく影響しているわけだが、この方針を進めてきたヨハネ・パウロ二世が死去したことで、早くも「ヴァチカンは中国と国交を結ぶのでは」という説が流れている。だがこれも保守派法王がまた誕生したことにより、可能性は低くなったのではないか。微妙なところだが……。
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