『ザ・ホワイトハウス』と『CSI:科学捜査班』

最近の私のお気に入りのドラマは『ザ・ホワイトハウス』と『CSI:科学捜査班』だ。

『ザ・ホワイトハウス』(原題は『The West Wing』で、大統領執務室オーヴァル・オフィスがあるホワイトハウス西館の意)は煉瓦さんの日記を見て興味を持ったのだが、とにかく簡単に善とも悪とも言えない政治の駆け引きの世界をうまく描いている。ジャック・ライアンが大統領になった『合衆国崩壊(大統領命令)』の政治劇が好きな私にとっては、実にいいドラマだ。
現在『ザ・ホワイトハウス』は、日本ではNHKで第4シーズンが放映中で、アメリカでは第6シーズンまで放映されている。だがそのシリーズ途中で、非常に重要なキャラクターである大統領首席補佐官レオ・マクギャリー役のジョン・スペンサー氏が昨年12月16日に死去した。ドラマ中でレオの役がどういう扱いになるのかもまだ発表されていない。

一方の『CSI:科学捜査班』だが、これはあるニュースで「『CSI:科学捜査班』などのドラマのせいで、犯罪者が科学捜査を回避する知識を身につけてしまった」というのを見て興味を持った。
このドラマでは、警察の科学捜査というものを中心に描いている、ラスヴェガスを舞台にしたドラマだが、別の都市を舞台にしたスピンオフ作品『CSI:マイアミ』『CSI:ニューヨーク』が作られるほどの人気作だ。

だがこのドラマは、現職の警察の人々から見ると、とにかく厄介な代物ということがわかってくる。

犯罪者が、科学捜査を回避する手がかりを与えてしまう

例えば今では指紋が犯罪捜査の大きな手がかりになることは誰でも知っているため、まともな犯罪者なら指紋がつかないようにする。同様に、今ではDNA鑑定という言葉も誰でも知っている。『CSI』ではその他のさまざまな科学捜査の方法が紹介されているが、方法を知っていれば、それを回避する方法もわかってくる。

陪審員が、目撃証言を信じなくなる

陪審員制度が敷かれているアメリカで、陪審員に与える悪影響についても語られている。『CSI』ではドラマ中で、嘘や間違いの目撃証言を科学捜査によって覆すということがよく行なわれている。このドラマばかり見ていると「目撃証言は信用できない」という固定観念が強くこびりついてしまう。

陪審員が、科学捜査を過信する

『CSI』では当然ながら科学捜査によって犯人を糾明する。そのため視聴者(陪審員)は「容疑者が本当に犯人なら科学的証拠が見つかるはず。科学的証拠が見つからないということは容疑者は無罪」だと思ってしまう。だが現実の世界では、「必ず科学的証拠が見つかる」なんて事は起こりはしない。

こうして、旧来の犯罪捜査の方法が使えなくなる一方で、最新の科学捜査の有効性さえも犯されてしまう。よく「暴力的ゲームは、そのプレイヤーを暴力的行動に走らせる」などということが言われているが、『CSI』というドラマは暴力的ゲームより余程厄介な代物なのかもしれない。