イタリアでの『攻殻』『イノセンス』放送……とか

ULTIMO SPALPEEN: イタリア地上波デジタル放送局Rai4で、「攻殻機動隊」(12月10日)、「イノセンス」(12月17日)連続放送

イタリアの地上波デジタル放送局Rai4イタリア放送協会)にて『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』『イノセンス』を連続放送するという話ですが、ちょっと面白いと思った点が。

何が面白いのかというと「(デジタル限定? だけど)地上波で」「『GITS』と『イノセンス』を連続で」「夕方の時間帯に」放送するという点。WOWOWやCS局を別にすると、日本の地上波で『GITS』『イノセンス』をこのような形で放送したことはないはずです。『イノセンス』製作には日本テレビが絡んでいますが、日テレで『GITS』『イノセンス』を放送したことはあっても時間帯は深夜、しかも互いの作品の放送時期もかなり離れています。

そもそも『イノセンス』には、最初日本でもタイトルに『攻殻機動隊2』とつくはずだったけど「前作の劇場動員数が少なかったのに、『2』とつけても売れない」と判断されたため、タイトルから『攻殻機動隊2』の文字が外され、「前作を知らない人にも映画館に来てもらう」ことを狙ったという経緯があります。また『イノセンス』公開前の宣伝の時も「『GITS』の続編」という話は隠されていたわけではありませんが、『イノセンス』公開前に『GITS』を日テレで地上波放映するということも行われませんでした(日テレで深夜放送中だった『SAC』TVシリーズとのタイアップ宣伝はあったのですが)。このあたりから『GITS』と『イノセンス』を切り離したかったという、当時の宣伝側意図が伺えます。ジブリ作品の宣伝パターンとは大きく違います。

ですが『攻殻機動隊2(イノセンス)』制作スタッフ側は、最初から「続編を作る」という考えだったため、『攻殻機動隊2』作中では、設定の説明などがばっさりカットされました。例えば何も知らない人が1回『イノセンス』を見ただけでは、「少佐」が何者なのか、男か女なのかすらわかりませんし、バトーとの関係もわかりません。また電脳などの『攻殻』世界観での独特な用語の説明もありません。そのため『イノセンス』公開当時の「よくわからない映画」という評価に繋がった大きな理由の一つになったと思います。このあたりで、制作側と宣伝側の意識のすりあわせがちゃんと行われていれば、また違った結果になったと思うのですが……。

一方で『イノセンス』の海外タイトルは『GHOST IN THE SHELL 2 : INNOCENCE』と、はっきり続編とわかるようになっています。さらに今回イタリアで『GHOST IN THE SHELL』を夕方に放送するという話。このあたりが、日本と海外での『GHOST IN THE SHELL』のネームバーリューの認識に対する違いが現れていると言えるのではないでしょうか。