『セラフィム 2億6661万3336の翼』単行本について

『セラフィム 2億6661万3336の翼』の単行本が手元に届いたので、それについての詳細。

『セラフィム』がどういうものかについては以前の記事を参照頂くとして、単行本について。
単行本には、アニメージュ掲載時のカラーページもそのまま再現されている。コミックは連載中断時と全く同じ「未完」のまま収録されており、その後の物語の展開を示すようなものは、メモ程度のものも存在しない。ただ連載開始と中断に至るまでの経緯についての説明、そして今氏のもとに保存されていたという、『セラフィム』に登場するキャラクターの初期設定画が掲載されている。

また、コミック初回限定版に付属している「追悼本」では、氷川竜介氏による今敏監督の解説、過去に「アニメージュ」に掲載された今敏インタビューの再録、そして今氏に縁があった人物として、沖浦啓之氏、本田雄氏、池信孝氏、松尾衡氏、井上俊之氏、板津匡覧氏、鈴木美千代氏のインタビューが掲載されている。

以前押井氏に伺った話によると、『セラフィム』中断の理由については「あまり多くを語りたくない(苦笑)」「描き手とケンカしてやめたってこと、それに尽きる」ということである。
そして『セラフィム』のコミックが中断した後、押井氏はキャラ設定はほぼそのままに、『セラフィム』の「天使病」の話を「天使が攻めてくる話」に変え、「中国」を「月」に変え、さらにケルト的要素を取り入れて『G.R.M. ガルム戦記』を作ろうとしたという。

その『G.R.M.』も2000年公開予定だったものが「製作凍結」され、現在に至っているわけだが……。