『鎮守府生活のすゝめVol.2』について

今回制作を手伝わせていただいた『艦隊これくしょん~艦これ~ 鎮守府生活のすゝめ Vol.2』について少々。他の方の担当部分について触れるのはおこがましいため、あくまで私が関わらせて頂いた範囲のみに限らせていただきますが、ご了承ください。

『鎮守府生活のすゝめ』ではVol.1に引き続き、私は軍事・史実方面の文章などを担当しましたが、最初に謝罪と訂正をしなければいけません。1ページ目の46cm砲の最大高度、「7000キロ以上」は「7000メートル以上」の誤りです、誠に申し訳ありませんでした……。46cm砲の最大高度は最大射程時で、7000メートルよりももっと高いという話もありますが、とりあえず手元の資料に従っています。

その他の武蔵の解説文章も私が書いたのですが、「(武蔵の)主砲は、一度も敵艦に向けられることはなかった」と書いたところ、編集部より「敵艦に向けたという説がある」というツッコミが入り、確認する時間が無かったため、このくだりはカットになりました。武蔵は対艦戦闘を行っていないという記述は手元の資料より引用し、記述前に他の資料も何冊か調べたため、「武蔵が主砲を対艦戦闘に使った」という説は、対空射撃で主砲を使用したことか、大和が行った対艦戦闘のことか、架空戦記のいずれかと勘違いしているのではないかと思っているのですが……。もしご存じの方がおられましたらご教授ください。

艦の装備解説ページ『装備入門集中講座』は、構成企画段階から私が発案して強く推した結果「教官がそこまでやりたいなら……」と言われて実現させてもらったものです。『艦これ』は(ブラウザゲームだから当然と言えますが)戦闘描写がほとんどないに等しく、具体的にどんな戦闘をしているのか、知識がないとよくわかりません。主砲の発射については(1991年の湾岸戦争まで現役の戦艦がいて主砲を発射してましたし)記録映像を見る機会も沢山あるので、どんなものなのか簡単に想像できると思います。ですが雷撃戦(魚雷による戦闘)は、どう行われていたか知らない人が沢山いるだろうと思ったのです(実際、私も昔は、水上艦も潜水艦みたいにみんな艦首に穴がついていて、そこから魚雷を発射するものだと思っていた時期がありました)。また、艦攻(艦上攻撃機)と艦爆(艦上爆撃機)の違いとか、急降下爆撃とは何かということなども、軍事の初心者にはわかりにくいでしょう。そこで『艦これ』で海戦に触れた人が、海戦の光景を脳内イメージで広げられるようにしたいと思ったのが、こういうページを作りたいと思った大きな理由です(軍艦ではなく艦娘がどうやって各種装備を使っているのか、という点はコミックなどに任せるとして……)。なおこれらの戦闘解説は、あくまで第二次大戦当時の技術のものということをご承知ください。今はバッテリーとモーターの性能が飛躍的に向上し、魚雷もホーミング能力を獲得しているため、潜水艦や魚雷の使い方などは全く違った物になっています。せっかくならそこまで触れたかったのですが、『艦これ』とは離れすぎてしまうため断念しました。

このページは、とにかくわかりやすくするため可能な限り図解を入れた結果、編集さんやデザイナーさんにはかなりの負担を強いてしまいましたし、読者の方からは「こんなゲームと関係ないミリオタ知識などいらん」と言われるのではという心配もあったのですが、おおむね好評だったようでほっとしております。次の問題は「Vol.3でこれ以上何を書いたらいいのだろう」ということですが……。『艦これ』ユーザーについては、史実の知識をどのくらいの深さまで求める人がいるのか、また、文章と絵・図解の比率がどれくらいまでなら読んでくれるのかというのがわかりにくいところもあるので、なかなか難しいです(本気で軍事に興味が出た人なら、専門書籍を読むでしょうし)。また、情報量だけならどうしてもWikiの人海戦術には勝てないので、情報の羅列ではなく、視覚的にも読みやすいものを作ろうと他のスタッフの方々も頑張られておりますので、よろしくお願い致します。