押井守 師匠たちに教えられたこと(第7回) 山田正紀【前半】 – ぴあ
じゃあSF作家になる!という感じで小説を書き始めたわけです。コンテストに出して、あわよくば学生デビューを飾るぞという意気込みですよ。
当時は『SFマガジン』の投稿コーナー“リーダーズ・ストーリィ”に送って、その後“ハヤカワSFコンテスト”に出そうなんて考えていた。当時は本当にSF作家になることしか頭になくて、映画監督なんてまったく考えていなかった。
SF作家を目指して書いていたときですよ。もう大学生になっていたと思う。1年か2年のときかな。そのときに山田さんのデビュー作『神狩り』を読んで衝撃を受けまくったんです。本当に素晴らしくて、この人にはどう頑張っても絶対に勝てないと思った。そもそも根拠のない自信だったわけだから、いとも簡単にSF作家になる夢を打ち砕かれたわけですよ。
押井守 師匠たちに教えられたこと(第8回) 山田正紀【後半】 – ぴあ
最初は映画を作るときのストレスを発散させるために書き始めたんだよ。「ひとりで完結させるために」。苦労はしたけど面白かった。自分の書いた本を手にしたときの喜びというのは、映画の初日とはまた違うもので、これはこれで良かったんですよ。その気持ちには、学生時代に諦めていた夢が叶ったというようなものもあるんだと思う。ところが最近は、もう13冊も書いて、モチベーションがきれいさっぱりなくなってしまった。そろそろ、もういいかなーという心境なんですよ。
というのも、やっぱり僕は作家に向いてないんです。作家という生活に向いていない。誰かと会って喋り倒したり、現場で大騒ぎして映画を作り、世に送り出すほうが楽しい。世に送り出すというのは、まるでこの時代にケンカを売っているようで楽しいんです(笑)。
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