『機動警察パトレイバー the Movie』を題材にしたサイバー犯罪についての記事、さらに老人のつぶやき

篠原重工は行政指導が必要? 劇場版「機動警察パトレイバー」で学ぶ「内部犯行」リスク - ITmedia NEWS

Twitterでは既に取り上げましたが、『機動警察パトレイバー the Movie』を題材にして、サイバー犯罪について語っている記事です。映画のシナリオ進行上の、いわばやむを得ないご都合主義のところにまでツッコミを入れている無粋なところはありますが(私もよくやるんですけど)、指摘されているのはごくまっとうなことです。

しかし、とにかくこの映画は公開当時の“先進性”が素晴らしく、それが今見ても衰えていないところがやはり凄いでしょう。私の記憶ですが、コンピューターウィルスを主題にした作品はこれが最初の部類に入るほど珍しかったはずです。

当時はNEC独自規格のPC-9800シリーズが全盛期の時代でした(それに対してシャフトのグリフォンは、その色や“趣味”に走った高性能などからSHARPのX68000シリーズだとよく捉えられましたが)。ところで作中で「パターン学習用のSRAM」という言葉が出てきますが、今の時代パソコンの記事を見てもSRAMという言葉を見ることは少なくなりました。SRAMとは、電源を切っても内部電池で内容を保存するメモリ(RAM)のことで、今だとマザーボードのBIOS/UEFI設定などで普通に使われており、逆にSRAMという表現を使っていることは少ないように思います。多分この頃だったと思いますが、X68000に搭載されたSRAMに入り込むウィルスが実際にあった(といってもほとんど実害が出るようなものではありませんでしたが)ことが影響していると思われます。X68000では、SRAMの書き換えが自由に行えたため、OS起動以前にSRAMから起動して、HOSの画面をほぼそのまま再現し表示するフリーソフト(起動画面が書き換わるだけでもちろん感染はしない)なんてものも出回ってかなり流行りました(PC-98シリーズでは(確か標準では)SRAMを搭載していなかったことやOSの制約によって同様のことを行うことは難しかったのです)。そして「パターン学習」という言葉ですが、当時のパソコンの「学習」は、日本語変換辞書の単語優先度や登録単語がせいぜいでした。それが膨らまされて「レイバーの動作は、乗り続け学習すればするほどその個人にあわせて賢くなる」という設定が作られたものと思われます。

「なんでハードディスクじゃないの?」と今の方は思われるかもしれませんが、当時はフロッピーディスクが主流、“未来の記憶媒体はMOだ”と思われていたため作中に出てくるのもMOで、当時とてつもなく高額だったHDDが一般的に普及することはほとんど想像されていませんでした。

そのHOSの画面を再現したメガネ拭きなどのグッズなどはまだ販売中、と宣伝。