『セラフィム 2億6661万3336の翼』《増補復刻版》が発売

『セラフィム 2億6661万3336の翼 《増補復刻版》(押井守・今 敏)』 販売ページ | 絶版・レア本を皆さまの投票で復刻 復刊ドットコム

原作(連載途中から原案)押井守、作画今敏による、未完の漫画『セラフィム 2億6661万3336の翼』ですが、2010年に一度未完のまま単行本化されておりますが、この度2019年10月に《増補復刻版》として発売されるとのこと

以前押井氏に『セラフィム』について伺ったところ「あまり多くを語りたくない(苦笑)」「描き手とケンカしてやめたってこと、それに尽きる」と語っていました。ですが今回の《増補復刻版》では、連載終了後から24年、押井守が初めて今敏を語った本音のインタビューを収録ということで、押井氏が重い口を開いた内容が新たに掲載される、ということらしいです。

改めてこの漫画についての説明を、以前書いた文章からほぼそのまま引っ張ってきますと、『セラフィム』は、押井氏が原作を担当、今氏が作画を担当し、アニメージュで1995年5月号から連載開始されました。連載開始号では『セラフィム』は表紙となっており、アニメージュ編集部は『ナウシカ』のように将来のアニメ化も見込んで、かなり期待していたのではないかと思われます。

ですがかつて存在していた今敏氏の公式サイトの記述によると進まない話と説明ばかりのシナリオで、私が原作者を煽るつもりで娯楽路線に走ったら、(押井)氏が逃げ出してしまったと書いてありました。クレジット表記では押井氏は「原作」から「原案」になる一方で、今氏によって連載が続けられましたが、1996年11月号で休載。その時誌面には、物語の結末は単行本に掲載と書かれていたのですが、結局続きを描いた単行本は出ず、今氏の死去によって、物語が完結することもなくなってしまいました。そして未完の形のまま、2010年12月に単行本が発売されました。

《増補復刻版》になる前の『セラフィム』単行本には通常版と限定版があり、限定版では今敏監督の追悼本という形の小冊子が封入されていました。今回の《増補復刻版》で、その小冊子の扱いなどは不明です。復刊ドットコムの販売ではオリジナル特典(非売品)がつくとのことですが。

また押井氏は『セラフィム』の設定を元に『G.R.M.』を作るつもりだったという話ですが、実際に完成した『ガルム・ウォーズ』はかなり違っているようです。

そういえば『セラフィム』は、押井氏による小説として2012年を目標に刊行するという話があったのですが、そっちについての情報の続きは全くないですね……。