「10カ月後に発売の本をもう予約開始って、何かの間違いじゃ?」と書いてから、気がつけばもう4カ月先に発売が迫っていた『押井守の映画50年50本』ですが、その本に収録予定の連載コラム(本では増補予定らしい)に、今回は『ベイブ』『ベイブ/都会へ行く』が扱われております。
押井 (『ベイブ』『ベイブ/都会へ行く』共に)台詞に合わせて動物の口をCGで動かしてみせた「リップシンク」の技術は両作とも素晴らしかったから、2本セットで語るべき映画ではある。と同時に、1本目と比較することで、なぜ2本目がダメなのかが分かる。
──『ベイブ/都会へ行く』は、井戸が壊れて、主人公が旅に出て、仲間を増やして、戻ってくる。そして最後に井戸を直して、水が溢れる。ジョージ・ミラーの『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)の展開に共通する、ミラーらしさを感じる映画ですが?
押井 街に行っちゃった時点で、ダメだと思った。子ブタのベイブが街に行っちゃうと、途端に「造り物」感が出てしまう。牧場の風景だからこそ、動物たちがしゃべっていることを許容できる。1本目は、計算し尽くされた映画だった。「なにをやったらいけないか」から出発して、「やるべきこと」を割り出していた。
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