「観客には『自分が抱えている不安を、具体化、形象化してほしい』という気持ちがどこかに必ずある」
押井守監督はそう指摘します。
その時代に生きる人々の「無意識の不安」を探り当てて、エンターテインメントにするのが映画監督の仕事。不安の影を捉えればヒット作になるし、ビジネスにもつなげることができる、と。この本で語られるのは、 「宇宙大戦争」 から 「007 ロシアより愛をこめて」「仁義なき戦い」さらには「キャプテン・アメリカ」「ゲーム・オブ・スローンズ」 まで、それぞれの時代をタイムカプセルのように封じ込め、大ヒット(中には渋いヒット)につながった映画とドラマ。第二次世界大戦から令和の世の中に至るまでを、エンターテインメントとして楽しみながら、その作品が作られた時代の背景を学ぶ、 押井守監督 による 「現代史講義」 、開幕です。ひと味違う映画ガイドとしても役立ちます。
いつもの押井節に乗って、自らの作品 「THE NEXT GENERATION パトレイバー」 についても解題していただきました。押井ファンには 「オシイヌ」 でおなじみ、 西尾鉄也氏 のイラストもたくさん収録しております。
エンタメ作品で時代を読み解く398ページ、押井節をたっぷりお楽しみください。
新型コロナを巡る対応には、“日本人の日本人っぽさ”がよく表れている。
それは、日本人の長所でもあり、弱点でもあり、ゆえに日本人の本質といえるのではないか――。「コメ」「コトバ」「仏教」「ペリー」「マッカーサー」、そして「新型コロナ騒動」……。 歴史の潮流のなかから、日本人がどのように生き、そしてどこへ向かおうとしているのかを鬼才監督・押井守が独自の視点で語り尽くした、自由で過激でオモシロすぎる<日本人論>。
「日本」なのか「ニッポン」なのか、どっちなんだろう……いえ、どっちが正しいとかそういう問題でなく、「日本」と書くことと「ニッポン」と口にすることの間には、いったいどんな気分の違いがあるのだろうか、とも考えます。そのときの気分に合わせて「日本」とも「ニッポン」とも使い分ける、そういう日本人てのは何なのさ、とも考えます。(中略)あくまでお気楽な読み物として「日本および日本人」について語る本を目指してみました。そういう意味では、「日本および日本人」についての本格的な思索の入門篇の、そのまた入門篇として読んでいただければ幸いです。 ――まえがきより
コメント