第1回新潟国際アニメーション映画祭で押井守が審査員長に

2023年3月17日~22日にかけて新潟市を中心にして『第1回新潟国際アニメーション映画祭』が開催され、押井守氏が審査員長に就任したとのことです。アニメーション映画祭というのは珍しくありませんが、この映画祭の特色は“劇場用、配信用、シリーズの区別なく長編商業アニメーションに特化”ということだそうで。

押井守監督、特殊なアニメ業界に苦言 新たな国際映画祭開催で悪しき伝統打破に期待 | ORICON NEWS

 今回の映画祭への期待は「今回の目玉、特徴として長編アニメーションに特化したところが面白いと思う。『今までなぜなかったのか?』いろんな理由があると思いますが、一つには、アニメ業界は人の悪口を言ったり、人の作品を評価することを基本的にやらない、特殊な世界だった。それが最大の理由だと僕は思っています」と伝えた。
 続けて「『人の仕事に口を出すな』『やったことに文句を言うな』というのが、僕らの世界の悪しき伝統だった」と苦言し、「今回は、そのようなものを打ち破る契機になればいいと思う」と期待した。

「批判をしない」というのはアニメ業界に限った話ではないと思いますが。批判が許されるなら日本版のラジー賞みたいなものも成立するはず。だけど日本のメディア各社は「悪口を書いたら、今後その会社の別作品で取材拒否されるなどの報復をされる」と恐れ、決して悪口は書かないのがお約束として罷り通っており、特に「売れ線」を抱えている会社の機嫌を損ねることがあってはならないというのが不文律として罷り通っております。その上、特に売れている作品の場合、別作品の影響を受けているのが明白であっても、さも独創的であるかのように語るという“配慮”まで求められます。私も何度もそのような“配慮”を求められた経験がありますし、売れ線作品を抱えている会社は特に態度がでかくなり、明確に脅された経験もあります。ぶっちゃけ日本のエンタメ報道の後ろはヤクザの世界であり、「売れている作品だったら内容がどんなものでもとりあえず褒めて、おこぼれに預かろう」という打算の世界でもあります。

押井氏は容赦なく他作品を批判すると思われているようですが(実際他の人よりも多くそういった発言が取り上げられていますが)、やはり押井氏でも「ああ、しがらみに縛られているなあ」と感じさせることは何度もありました。果たしてそのしがらみを破れるのか……。

新潟国際アニメーション映画祭:長編商業アニメのアジア最大の祭典 新潟で2023年3月開催 押井守監督が審査委員長に - MANTANWEB(まんたんウェブ)
押井守が審査委員長「第1回新潟国際アニメーション映画祭」23年3月開催 長編商業作品に特化 : 映画ニュース - 映画.com