最近何が本職かだんだん判らなくなってきた押井守監督の新著、映画の正体 続編の法則が7月15日に発売されます。『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』『機動警察パトレイバー2 the Movie』などの“続編映画”で注目を集めた押井監督が“続編映画”について語っているとのこと。
押井守監督が続編、シリーズもの、リブート映画を通じて映画の正体に迫る 書籍『映画の正体 続編の法則』が2022年7月15日に発売!|株式会社インプレスホールディングスのプレスリリース
2020年刊の前著『押井守の映画50年50本』では「1年1本縛り」で語るべき作品をセレクトし、現在の視点からの解析を施した押井守監督。今作では「続編」をテーマにすることで、また別の角度から映画について語り思索を深めていきます。人はなぜ続編映画を作り、シリーズものを見に行き、あまつさえリブートを企画するのか。自らを続編監督と自認する押井守監督が、その秘密に迫る注目の1冊です。
「はじめに」より
そういう意味では商業映画は常に、表現行為と経済行為という矛盾する2つの要素で成立するんだよね。何をいまさらと思うかもしれないけど、その矛盾が顕在化しやすいのがパート2でありシリーズなんだよ。だからこそ語る価値がある。だけど、矛盾する2つの要素のバランスを確かめるために映画館に行くような人間はいないわけだ。映画を商売にしている人間や、映画の正体に近づきたいと思っている人間は別だけど、一般観客はそんなことは気にしない。では、観客は何を期待してパート2やシリーズを見に行くのか?
気がつけば興行収入ランキングの上位を占めるのは続編映画ばかり。そんな時代だからこそ、続編映画を通して映画の正体に近づいていきたい。人はなぜ続編映画を作り、シリーズものを見に行き、あまつさえリブートを企画するのか。自らを続編監督と自認する押井守監督が、その秘密に迫ります。
CONTENTS
第1章〈リドリー・スコットの悪意〉
第2章〈ジェームズ・キャメロン唯一の正当な続編映画〉
第3章〈クリストファー・ノーランとザック・スナイダーで考える「続編監督」の資質〉
第4章〈スティーヴン・スピルバーグはパート2映画を発注する〉
第5章〈マイケル・ベイと大作映画の相性の悪さ〉
第6章〈パート2映画を最大限に活用したギレルモ・デル・トロ〉
第7章〈ハリウッド版『ゴジラ』と国難映画〉
第8章〈シンプルさに振り回された『ダイ・ハード』というけったいなシリーズ〉
第9章〈最長寿シリーズ『007』とリブートの面白さ〉
第10章〈『猿の惑星』が描く動物と人間の垣根〉
第11章〈続編を作らない宮崎駿〉
第12章〈観客論〉
物凄く簡単なことを言えば作る側は続編映画はある程度の確実なリターンが見込めるので、投資されやすいということなのでしょうし、観客も安定したものを求めるというところでしょうが。押井守監督自身は自分の続編映画(『うる星やつら2』『パトレイバー2』『イノセンス』)について、要約すると「1作目は原作に忠実に作っているが、2作目となると自分のフィールドで勝負するしかない」ということを発言しています。『攻殻機動隊 PERFECT BOOK 1995→2017』の発言より……ってこっちの本、値段が跳ね上がってる!? 話が逸れますけどこの攻殻の本はライターとして私が参加させてもらい、私の実質的な最期の仕事として墓石、墓碑銘にすべく色々とやったので、評価されて嬉しいです。
コメント