非常にレアな士郎正宗のインタビュー 新規公開『攻殻機動隊』グローバルサイトにて

SNSアカウントに続き、予告されていた『攻殻機動隊』グローバルサイトが10月31日より公開されています。

正直「今更?」という感じで内容には全く期待していなかったのですが、このサイトに非常にレアな、原作者である士郎正宗氏のインタビューが掲載されております。

史郎正宗氏には、マンガの欄外に自分の考えを含めた細かい書き込みを入れるので有名な一方、めったにインタビューに登場することはありません。押井守版アニメ『攻殻機動隊』の、最初に出たLDだったかDVDに士郎氏の肉声インタビューが入っていたのですが、のちのDVD/BDパッケージではそれも削除されています。よくインターネットだSNSだという話題になったときに『攻殻機動隊』が題材、預言書のように取り上げられることが多いのですが、士郎氏がインタビューに応じてくれないためか、代わりにいつも押井守氏が引っ張り出されています’(押井氏自身は何度も「あれ(攻殻)は士郎さんの世界」と言っているのですが)。

ですがこの『攻殻機動隊』グローバルサイトで、士郎正宗氏のインタビューが掲載されており、非常に貴重と言えます。

単行本や副読本などで作品について説明することはあったが、原作者の士郎正宗がインタビューという形で『攻殻機動隊』について語るのは、今回がほぼ初めてとなります。
作品を描くことになったきっかけから、注目している最新技術まで、30年以上の時を経て原作者自らが『攻殻機動隊』を語ったロングインタビューを掲載しました。

士郎 たとえば電脳空間でサイバーの細い線のリングでできたものがいっぱい並んでいる絵がどこからきたんだろうというのを自分で考えたことがあります。2段階になっていて、近いほうでは松本零士氏の『銀河鉄道999』で、機関車のメーターがたくさん並んでいる絵です。理屈はわかりませんが、丸いものが並んでいるという状態に電脳空間のリングの機能のようなものを感じました。もう一段前は父親の仕事です。父親が印刷会社で文字を書いたりする仕事をしていて、家に絵の具を入れた丸い瓶がずらっと並んでいました。物心ついたときから、その状態を見て、「あれはなんだろう」と思っていました。綺麗な色の丸いものがいっぱい並んでいるところに、夢とか自分にわからないものを感じていて、丸いものがいっぱい並んでいたらSFっぽいという概念ができたわけです。だから松本零士氏の絵に惹かれて、不思議な未知の空間みたいなものを描くときに、「どういうイメージがいいだろう」と考えるとリングが並んでいる絵が出てきたんだと思います。
――首の後ろに有線するアイディアは、当時画期的だったと思いますが、どこからヒントを得たのでしょうか。
士郎 当時、無線接続というのがなかなか伝わりづらかったんです。『アップルシード』で警備ロボットが無線で乗っ取られるというシーンやコントロールセンターにいるオペレーターたちがパソコンの画面を見てて、視覚で乗っ取られるというシーンも描いてるんですが、これが伝わりませんでした。携帯電話もスマートフォンも持っていない時代で、データを送信するときは線で繋ぐしかないということになりました。線で繋がっていれば目で見てわかるので、『攻殻機動隊』のときには、頸椎に有線接続するという表現方法を採用しました。