CIAアナリスト(情報分析官)のジャック・ライアンは、ソヴィエト艦隊の異常な動き、そしてラミウスの手紙のことから判断して、彼が戦略潜水艦ごと合衆国への亡命を目論んでいると判断した。そしてアメリカはレッド・オクトーバーを迎え入れようと、一方ソヴィエトはレッド・オクトーバーを撃沈しようと、この世界最大の潜水艦と天才的艦長を追い求める。
こうして、水面上でのアメリカとソヴィエトの駆け引き、そして水面下、光の届かないところでの戦いが始まったのである。
潜水艦はほかの兵器と比べても極めて異質である。まず第一にレーダーが使えない海中において、音だけを頼りに(潜望鏡が使われることはほとんど無い)行動するという事がこの大きな違いを作り出している。潜水艦はその隠匿性が最大の武器であり、第一の任務は敵からも 味方からも隠れる事である。そのせいかは知らないが、潜水艦の乗組員には変質的な人間が多いそうだが。最も狭い艦内に数ヶ月間閉じ込められ、外を見る事もままならず、鋼鉄の固まりを世界の全てにしなければならないサブマリナーは、変質的な人間でないとやっていられないのかもしれない。
著者 | トム・クランシー |
訳者 | 井坂清 |
出版社 | 文藝春秋 |
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