これを読むことによりヴェトナム戦争の別の一面が見えてくる。アメリカ軍はヴェトナムのジャングルに吸い込まれ、ヴェトナムのゲリラ戦法に敗れたということになっているが、果たして本当にそうだろうか? アメリカ軍の損害はマスコミで喧伝されたように本当に大きい物だったのだろうか?
ともあれアメリカ軍はヴェトナムから撤退し、アメリカが支援を約束した南ヴェトナム政府は消滅することになる(多くのアメリカの職業軍人に、それは傷として残った)。自らも傷を負い、片足を失うことになったフランクスはそれでもなお軍に復帰した。誇りを失ったアメリカ陸軍の為に自分が出来ることは何か?
そしてサウディアラビアの砂漠に降り立ったフランクスと新生アメリカ陸軍。ここからは第7軍団長としてフランクスが何を見て、何を考え、何を決断したかが記されている。これを読んだら多くの人々は、軍の指揮官がどれだけ多くのことに頭を使わねばならないかに驚かされるだろう。軍の司令官というものはありがちな小説のように、天才的な閃きや柔軟な思考が出来るだけでは務まらない。長年の訓練と経験とスタッフが不可欠なのである。指揮官は戦場において何を考えなければならないのか、この本はそれを垣間見させてくれるだろう。
著者 |
トム・クランシー フレッド・フランクスJr. |
訳者 | 白幡憲之 |
出版社 | 原書房 |
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