野良犬の塒
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Tom Clancy's POWER PLAYS POLITIKA 千年紀の墓標

表紙

ストーリー

エリツィン大統領が急死してロシアの政局は混乱し、更に農業の不作により重大な食糧危機までが訪れようとしていたが、それはひとまずアメリカの食糧援助により回避されようとしていた。

その一方で西暦2000年の到来を盛大に祝う祭典がニューヨークで行われていたが、その2000年になる瞬間、複数の爆弾による計画的なテロで、新年を祝うはずのニューヨークは地獄と化した。そして捜査の手が進められると、その行き先はエリツィン死後のロシアをトロイカ体制で引っ張ってきた政治家の一人に行き着くことになる。

アップリンク・インターナショナルの経営者ロジャー・ゴーディアン。かつてヴェトナムで従軍し、撃墜されて捕虜になった経験のある彼は、自らの力の及ぶ限り世界をより良いものにして行く事を誓った。彼が社の危機管理ティーム≪ソード≫を使って独自に調査すると、この背後にはまた別の黒幕の影が浮かび上がる。そして更に彼の社員でロシアに働く人々にも危機が迫っていた。

解説

ライアンシリーズ、オプ・センターシリーズに続く新たなPOWER PLAYSシリーズ、その第一作目が原題"POLITIKA"、この『千年紀の墓標』である(少なくとも新潮のタイトルのつけ方よりははるかにましだ)。

POLITIKAとはロシア語で政治を意味し、この物語はその名の通り政局の混乱したロシアから始まる。面白い点は、今までのクランシーの本は全て政府機関の人間が主人公となっていたのだが、これでは(元軍人とはいえ)一企業の経営者に過ぎないということであり、まるで軍の特殊部隊のような危機管理ティームも登場するものの、(一応)法にのっとって行動しなければならないため、武器の使用などについても大幅に制限される。勿論NORADの偵察衛星による写真での情報とか、NSAの通信傍受と暗号解読による情報というのも(普通は)ゴーディアンの元には届かない。
だがヴェトナムに従軍し、撃墜されて捕虜になったが生還したゴーディアンは世界をより良くする事を誓い、アップリンク・インターナショナル社の経営者となる。通信(情報)の自由化は世界を変えると確信し、彼なりに独裁国家、共産国家との戦いを開始したのだ。この"POLITIKA"ではその彼の敵はロシアの過激派やロシアン・マフィアである。
しかしこの本もオプ・センターと同様に共著という形になっているが、やはりどうにもクランシー味が薄い気がしてならない。

現在POWER PLAYSシリーズは3作出ているが、その全てがクランシー自身が設立したPCゲーム会社Red Storm Entertainment社からゲーム化されている。生憎ゲーム版のPOLITIKAについての情報は日本では極めて少ないが。

出版情報

千年紀の墓標
著者 トム・クランシー
マーティン・グリーンバーグ
訳者 棚橋志行
出版社 二見書房
amazon.co.jpで購入

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