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ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間について
私が一番最初にホームページを作ろうと考えたとき、どんなページを作ろうとしていたのかというと実は押井守作品のページではなく、『指輪物語』原作者のジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン作品のページを作ろうと考えていたのである。しかし結局私はトールキン関連の文章はほんのいくつかを書いただけで、そのうちに私のページ『野良犬の塒』は押井守作品を扱うページにどんどん特化して行き、私のトールキン作品への情熱は押井作品以上であるものの、そのままトールキンのコンテンツは死んだままになっていた。
だがやがて「指輪物語が実写映画化される」という話が現実になり、にわかに世間のトールキン熱は高まった。我々古くからのファンにとっては、新しいファンが増えるのは有り難い反面、作品の意味を理解せずに騒がれるのはいい迷惑だと、複雑な感情を抱いていた(*1) 。
ともあれ、自分のページでちまちまと「指輪物語の実写映画」即ちロード・オブ・ザ・リングの情報を集めるようになり、そしてやがて作られたコンテンツが「中つ国用語辞典」である。閲覧者が自由に書き込める参加型の辞典で、その辞典にあまりに深すぎる指輪物語の世界の数多くの事象の解説を盛り込む、というものだった。開始した当時は果たしてこの遠大な冒険が成功するのだろうかと危ぶんだが、現在の時点で登録単語数は1400項目を突破し、、トールキン作品に出てくる主要な単語の入力は一通り終了して十分に辞典として使い勝手があるものに仕上がった。もっとも、トールキン作品に出てくる「すべての」単語を入力しようとするならば5000項目入れなければならない計算になるのだが。
さて、映画の指輪物語(ロード・オブ・ザ・リングなどという不適切な邦題にされてしまった!(*2) )は、トールキンの原作の深みを十分に伝えている。トールキンは「指輪物語」の土台として8000年近くにもわたる年表や、数多くの伝承、地図、系図、そして言語を用意した。言語学者のトールキンは、エルフ語を作ることから始めたのである。
それが下地になっているため指輪物語の世界である中つ国は圧倒的な存在感を保持しているのだが、映画の『ロード・オブ・ザ・リング』も見事にそのトールキンの意志を受け継いでいる。例えば劇中で使用されているエルフ語、ドワーフ語は、トールキンの専門家が翻訳や発音、表記の監修を行っている。このように映画とは直接関係ないところでも、トールキンが作った世界設定に忠実になるようにされているのだ。
そのため、『ロード・オブ・ザ・リング』は『指輪物語』を読んでいると、「おお、これは○○だ!」という事が分かり、より深く楽しめるのである。しかし当然の事ながら、この映画を見た人全員が原作を読んだ人ではない。そこでここでは主に原作を読んでいない人のために、この映画の奥の深さの片鱗を解説してみたい。
その前に、まず『ロード・オブ・ザ・リング』のDVDについて解説しておきたい。原題はTHE LORD OF THE RINGS:THE FELLOWSHIP OF THE RING(LOTR:FOTR)。サブタイトルは小説では『旅の仲間』と訳されているが、映画第一部ではこのサブタイトルは省略された。この映画が三部作であることを隠して「とりあえず映画館に入れてしまえば勝ちだ」試みと見て間違いない。そのため公開時には「ここで終わりか!?」という意見が数多く聞かれたらしい。
そしてDVDは二種類。『コレクターズ・エディション』(CE)と、『スペシャル・エクステンデッド・エディション』(SEE)。SEEはCEより二ヶ月ほど遅れての発売となった。
CEは劇場公開したものと同じだが、SEEでは本編に約30分の追加シーンが収録されている(映像特典も異なる)。カッティングはどちらも監督本人が行ったので、良く言う『ディレクターズ・カット』という区別の仕方は出来ない。
SEEはただカットされた映像を足しただけではなく音楽の追加収録まで行ったヴァージョンで、こちらではフロド以外のキャラクターがより深く掘り下げられ、また第二部『二つの塔』、第三部『王の帰還』への伏線も追加された。そのため、第二部以降を観る前に是非SEEを見ておくべきである。
以下のチャプター番号は全てSEEを基準にしている。また、もっと詳しく指輪物語のことを知りたいという方は、野良犬の塒HPの「中つ国用語事典」を参照されたい。
チャプター1 プロローグ 一つの指輪
ここでは中つ国 ( なかつくに ) の歴史が語られる。トールキンは中つ国(Middle-earth)とは「どこかの異世界」ではなく、かつての地球を想定していた。現代からおよそ6000~8000年前のヨーロッパがLOTRの舞台なのである。
この冒頭部では魔法の指輪、「力の指輪」の事が語られる。力の指輪は「三つの指輪」「七つの指輪」「九つの指輪」「一つの指輪」と、合計で20個存在することがここで出てきているが、話に出てくる他の指輪がどこに行ったのか? と思う人は多いだろう。
人間のための九つの指輪には、サウロンの邪悪な意図が吹き込まれていたため、これを手に入れた人間は堕落して指輪の幽鬼、ナズグルとなった。本編中でホビット達を追いかけ回す黒の乗手である。
ドワーフのための七つの指輪にもサウロンの邪悪な意図が吹き込まれていたが、ドワーフという種族の頑強さのためにドワーフはサウロンの意のままに操られることはされずサウロンの憎しみはかき立てられた。だが時折ドワーフの乱心や破滅の元凶となってしまい、最後には七つの指輪は、全てサウロンに取り戻されるか竜に焼かれるかしてしまう。
エルフのための三つの指輪ははサウロンの手に触れられたことはない。三つの指輪のうちの一つはネンヤで、SEEに出てくる通りガラドリエルが持っている。ガラドリエルはこの指輪の力を使ってロスロリアンを守っていた。
エルフと人間の同盟軍対サウロン軍の戦いは、「最後の同盟の戦い」と呼ばれる。この後中つ国のエルフの数が減少し、人間とこのような大規模な同盟を結ぶことが無くなったからである。
映画を見ると、サウロンが一つの指輪を作ってから直ちに最後の同盟の戦いが始まったように思えるが、実のところはそうではない。サウロンが一つの指輪を作り、エレギオン(裂け谷の近く)のエルフと戦争になったのが第二紀の1693~1700年の間である。この時はサウロンは一時撃退され、モルドールに逃げ去った。そしてサウロンが再び勢力を拡大し、最後の同盟の戦いが行われたのは第二紀3429~3441年である。
この時のエルフの王の名はギル=ガラド。彼は三つの指輪のうちの一つ「ヴィルヤ」も持っていた。戦闘シーン中、槍を使って足下のオークにとどめを刺すエルフがギル=ガラドである。ギル=ガラドはエレンディルと共にサウロンに殺されたのだが、映画では(SEEにも)そこまでは描かれていない(SEE映像特典の絵コンテには出ている)。エルロンドはギル=ガラドの伝令だった。
さて映画だけを見た人は、イシルドゥアを相当な馬鹿者と思ったことだろう。何せ滅びの山、滅びの罅裂 ( きれつ ) の目の前にまで行きながら一つの指輪を自分のものにし、更に(SEE追加シーンでは)指輪を使って一人で逃げようとするのである。
だが本当はイシルドゥアも勇敢な人物だった。彼も指輪に魅入られてしまったのだ。トールキンの未発表原稿では、イシルドゥアの長男(エアレンドゥア)が、敵に指輪を渡さないようイシルドゥアに指輪を持って一人で脱出することを勧め、イシルドゥアが息子に許しを請いながら指輪を守るためそれに従うというシーンがある。
チャプター2 ホビットを語る
SEEで追加されたチャプター。ビルボが、自分の冒険談を「ゆきて帰りし物語」(『ホビットの冒険』の原題)という本に書きながら「ホビット」という種族について語っている。
ホビットという種族はどういう種族なのか、説明すると以下のようになる。
外見
平均身長は(第三紀末では)60cmから80cm程度で、大抵は太って腹が出ている。足は臑から下が毛で覆われており(足の裏に毛が生えているというのは誤訳で実際は不明)、靴は履かずに裸足で過ごす。稀にドワーフの長靴をぬかるむ日に履くこともある。
髪の毛は巻き毛で、色は茶色(ごく稀に金髪)。寿命は90~110歳程度。33歳で成人と見なされる。 能力
力は強くなく蛮勇を奮うこともないが耐久力が高く、困難な状況に驚くほど耐え抜く。手先は器用だが細工物に打ち込むということは少ない。やむを得ず戦う時には投石が得意で、弓を扱うのも比較的上手。 文明・文化
素朴な農耕民族。食べることを好み、可能なら一日に6回食事をする。またパイプ草を吸うという芸当はホビットから始まり、他の種族に広がっていった。争い事を好まない資質。文字を理解するものは全体の半数程度だが、その者達はしげしげと親戚縁者に手紙を書いた(親戚血縁関係を重視する種族)。自分の誕生日には他人に贈り物をする習慣がある。 住居
建物を建てることはあまりせず、緩やかな丘の斜面に穴を掘って住居とする。丸いドアや円い窓がホビット穴の特徴。地上に建物を建てることもあるが城や塔などの巨大な建造物は造らない。 歴史
第二紀の頃に霧ふり山脈の東から西方へと移動しつつ、ブランディワイン川を越えてホビット庄に移住した。名目上は北方王国アルノールの民だが完全な自治を行い、戦乱にはほとんど煩わされず、北方王国滅亡後も独自の文化と生活を守っていた。
他の多くの国にとっては、小さい人の事はほとんど知られることはなく、僅かに伝承として「穴の中に澄む小さい人がいる」と語られていることがある程度だった。 氏族
主にハーフット、ファロハイド、ストゥアに分かれる。 言語
ローハン語が起源と思われる言葉を使っていたが、西方への移動に伴いその言語を忘れ、西方語を使うようになった。しかし一部の固有名詞は彼らの言葉の中に残された。 偏見
他の種族とほとんど関わりを持たない。かつては人間やドワーフと交流があったがそれもどんどん少なくなっていった。しかしブリー村のホビットは人間と共に暮らしている。
チャプター3 ホビット庄 ( シャイア )
Shireは、小説では「ホビット庄」と訳された。映画の訳はそのままシャイアと言っていたりホビット庄となっていたり、ホビットの里となっていたりする。
フロドとガンダルフが出会うシーン。ここでガンダルフが語る「ビルボとドラゴン(竜)の一件」というのが、『ホビットの冒険』で語られている話である。60年前の、第三紀2941年、13人のドワーフとガンダルフが、はなれ山の竜に奪われた宝を奪回しに行く旅に出発しようという時、一行のための「しのびの者」としてガンダルフに抜擢されたのがビルボ・バギンズだった。平穏な生活から突然強引に冒険に付き合わされることになって袋小路屋敷を飛び出したビルボは剛勇でも魔法使いでもなかったが、持ち前の気転と、旅の途中で手に入れた『姿を消すことが出来る指輪』で一行を助けてはなれ山に辿り着く。そしてビルボは竜のスマウグの弱点を見付け出し、そのお陰でスマウグは仕留められた。これが『ホビットの冒険』の物語である。
チャプター4 古き友人
ビルボとガンダルフが再会するシーン。ここでガンダルフが眺める地図が、『ホビットの冒険』に登場した、はなれ山の地図であり、赤インクで竜のスマウグが書かれている。実のところ、原作の『ホビットの冒険』でこの地図が最後にどこへ行ったのかはどこにも書かれていない。だが、ジャクソン監督らは「ビルボが持っていても矛盾していない」という事を調べ、このシーンを入れたのだそうだ。
SEEでは、サックビル=バギンズが登場している。サックビル=バギンズとは、ビルボがはなれ山に旅に行って留守にしている間、ビルボを(一年以上もいなかったのだから無理もないが)死んだことにして、袋小路屋敷を乗っ取ろうとしていたビルボの親戚である。またビルボがフロドを養子にしなければ、袋小路屋敷の相続人はサックビル=バギンズになるはずだった。ビルボとの確執はそんなわけである。
チャプター5 待ちに待った誕生祝い
ビルボの111歳の誕生日が祝われるシーン。原作ではビルボとフロドは同じ誕生日であり、フロドは33歳で(ホビットの)成人に達したということも同時に祝われるのだが、このフロドの件については映画では省略されている。
チャプター10 過去の影
ガンダルフとフロドが再会するシーン。原作では、ビルボの誕生祝いから17年間の歳月が流れている(つまりフロドは50歳)のだが、映画では「せいぜい数ヶ月」という表現になっている。その17年間の間にガンダルフはアラゴルンの協力を得てゴクリ(ゴラム)を捜索していた。
ゴクリはモルドールから逃亡した後アラゴルンに捕らえられ、闇の森(レゴラスの故郷)に連れて行かれた。だがゴクリはオークの手引きでそこからも逃亡して行方をくらませたのである。
指輪に書かれた文字は、暗黒語をエルフの文字で書いたものである(暗黒語が精細な細工に向かないため)。それは"Ash nazg durbatulûk, ash nazg gimbatul, ash nazg thrakatulûk agh burzum-ishi krimpatul"、「一つの指輪はすべてを統べ、一つの指輪はすべてを見つけ、一つの指輪はすべてを捕らえて、くらやみのなかにつなぎとめる。」の意である。SEEではガンダルフがこの言葉を発し、周囲が騒然とするシーンがある。
ガンダルフ自身が指輪を持っていけばいいじゃないか、と思った観客の方もいるだろう。だがガンダルフは、一つの指輪を持つ者が堕落してしまうことを知っていた。ガンダルフならば、一つの指輪の魔力を使いこなすことが出来ただろう。だがその結果自分が堕落し、自分自身が冥王になってしまうのを何より恐れていた。そのため指輪を受け取るよう懇願するフロドに対し「誘惑しないでくれ」と言ったのである。
そして家の外で盗み聞きしていたサム。何故サムがあそこにいたかを疑問に思う人もいると思う。これも原作を読むとはっきりと判る。原作小説ではサムは、フロドがビルボのように突然消えてしまいはしないかと、メリーとピピンと共にフロドを監視していたのである。サム達はフロドを愛していたため、一人で行かせたくなかったのだ。映画ではピピンとメリーはあくまで「偶然の道連れ」的に描かれているが。
サムは、父親の代から袋小路屋敷に仕える庭師だった。そのため「フロド様」(Master Frodo)と呼び、敬語を使っている。袋小路屋敷のバギンズ家はホビット庄の名士であり、袋小路屋敷も一人二人のホビットがするにしては随分の豪邸である。
チャプター11 去りゆくエルフたち
SEEで追加されたシーン。中つ国のエルフ達は次第に減少していた。港から船出して、エルフだけが到達することの出来る西方の至福の国へと去って行くためだ。こうして中つ国に留まる者と、中つ国を去るエルフ達の運命は、永遠に隔てられることになるのである。
トールキンのエルフとは、以下のような存在だ。この中にある判らない単語については、野良犬の塒HPの中つ国用語事典を参照されたい。
外見
人間に似ているが男も女も非常に美しく、人間よりはやや細身。身長は人間と同じかやや高い。肌は白で、髪の色は氏族によるが金、銀、黒など。トールキンが直接作品中で「エルフの耳は尖っている」という事に触れたことはないが、彼が残した資料から、彼がそう想定していたらしい事が伺える(
もちろんそんなに長くはない)。 能力
病気にかかることもなければ老いることも寿命も無く、年月と共に叡智と哀しみが積み重なって行く。また暑さや寒さなどに対する耐性も高く、困難な状況でもよく耐える。
エルフは武器などによって殺されるか、生に倦み疲れて逝かない限り死ぬことはなく、その「死」の意味も人間とは異なり、魂はマンドスの館で世界の終わりを待つことになる。
最初のエルフは月も太陽もない、星々のみが世界を照らす時代に生まれたため、星明かり程度の光さえあれば遠方を見通す事が出来、またその視力も人間より遙かに鋭い。睡眠の意味も人間とは異なり、瞑想によって休息をとることが出来る。
身のこなしも非常にしなやかで、雪の上に足跡を付けずに歩いたり、草の茂る森林を音も立てずに進むことが出来る。 文明・文化
人間より長い文明の歴史を持ち、更にヴァラールに教えを受け、そしてエルフ自身の技量の高さより文化や技術の高さは人間を遙かに凌駕する。また耳も聡く、そのため歌や音楽の技量も非常に高く、言葉も美しい。 住居
開けた土地や森林に都市を造るが、放浪の生活を送るエルフも存在する。戦乱の時代による必要性によって洞窟や要塞を住居とする事もあった。 歴史
第一紀以前、星々の時代にクウィヴィエーネンの湖の近くに誕生する。するとヴァラールは危険の多い中つ国から西方の至福の国へとエルフを移住させる事を考えた。そうして多くのエルフが西方へと移動し、一部は中つ国に残ったが多くのエルフが至福の国へと渡った。だが後にノルドールが中つ国に帰還した。
至福の国が世界の圏外に移された後も、エルフには西方へと去る恩寵が残され、多くのエルフが後に中つ国から船出して西方に永遠に去って行き、次第に中つ国のエルフは減っていった。 氏族
クウィヴィエーネンからの西方の旅でどうしたかによって分類される。クウィヴィエーネンからの西方への旅を拒んだ者はアヴァリと呼ばれ、西方への旅を行った者はエルダールと呼ばれる。その中で第一陣はヴァンヤール、第二陣はノルドール、第三陣はテレリ。テレリは更に分けられ、大海を越えずベレリアンドに残った者はシンダール、その前に霧ふり山脈を越えなかった者はナンドールと呼ぶ。ナンドールのうち後になって霧ふり山脈を越えてオスシリアンドに住んだ者はライクウェンディ(緑のエルフ)で、残った者はシルヴァンとなる。
エルダールのうちアマンに渡らなかった者(シンダール、ナンドール)を指してウーマンヤールという。そして全てのエルフはカラクウェンディ(上のエルフ或いは光のエルフ)とモリクウェンディ(暗闇のエルフ)に分けられる。 言語
主にクゥエンヤとシンダリンに分かれる。シルヴァン語はアヴァリの言葉だが、闇の森のシルヴァン・エルフはシンダリンを使うことが多く、シルヴァン語は原作中に出てこない。 偏見
オークを強く憎んでおり、冥王とその勢力を憎んでいる。シンダールはドリアス滅亡の歴史的経緯からドワーフと確執があるが、ノルドールはドワーフと比較的親しい。海に対する強い憧れを持つ。
チャプター12 白の賢者サルマン
オルサンクは、エレンディルらヌメノール人が建設した塔の一つである。かつてはゴンドールの要塞の一つだったが、ゴンドールの国力の衰微と共に放棄されていたのをサルマンが租借し、しかしそのうちにサルマンが領有を宣言してしまった。
パランティアはエルフ語で「見る石」の意で、エルフ達がエレンディルの一族に贈った品である。パランティアは遠方を見ることが出来る水晶球で全部で七つあり、パランティアを持つ者同士はこれで意思の疎通を図ることが出来たののだが、戦乱のうちにパランティアの多くが失われてしまった。そのうちの一つはサウロンの元に渡り、これでサウロンとサルマンは連絡を取っていたのである。
ガンダルフやサルマンはイスタリという魔法使いである。彼らは実際には人間ではなくマイアという種族であり、精霊のような存在である。そのため彼らも寿命は存在しないのだが、力を制約されているため人間の老人の姿を纏っている。
チャプター13 畑を抜けて
ナズグル、黒の乗手が登場。ナズグルはホビットを追う時初めて出現したのではなく、サウロンが復活する前に、モルドール軍の指揮官としてゴンドールの砦のミナス・イシルを攻撃したり、またゴンドールと兄弟国だったアルノールを攻撃し、滅ぼしている。第二部以降では、このモルドール軍の指揮官の黒の乗手が見られるだろう。
チャプター15 踊る小馬亭で
ブリー村は、ホビットと人間が共存する唯一の土地である。ホビット庄 ( シャイア ) の外でホビットが住んでいるのはここだけだ。他にもブリー村は、東西の街道を旅するドワーフたちが良く立ち寄っている。
そしてアラゴルンが登場。アラゴルンはガンダルフに依頼され、他の野伏を指揮してサウロンの間者から密かにホビット庄を防衛する任務に就いていたのである。アラゴルンの最初に紹介された名前「ストライダー」は、直訳すると「大股で歩くもの」。原作小説では「馳夫 ( はせお ) 」とされており、その絶妙な言葉に感心したものだ。また「さすらい人」は原語でRanger、こちらは小説では「野伏 ( のぶせ ) 」となっている。
劇場公開時の字幕ではStriderが「韋駄天」という字幕になっており非難囂々だった。
チャプター16 黒の乗手ナズグル
黒の乗手は視力が弱い(全く見えないかも知れない)かわりに嗅覚が強い。それで時折臭いを嗅ぐような行動を行っている。
黒の乗手はブリー村にも間者を置いていた。そしてフロドの姿が消えたという話とフロドの部屋の位置を聞き出してそこを襲撃したが、危険を察知したアラゴルンに避難させられていたので、部屋は空だった。
黒の乗手の音楽はアドゥナイク語の歌が流れる。この言葉は、滅び去った人間の国であるヌメノールの言葉だ。ヌメノールはかつて栄華を誇っていたが、サウロンに堕落させられて滅んだ。その水没した国を脱出したのがエレンディル達であり、彼らは中つ国に流れ着いて国を作った。
チャプター17 ぶよ水の沼地
SEEで追加されたシーン。ここでアラゴルンが、ベレンとルシアンの歌を歌っている。ルシアン・ティヌヴィエルとは、第一紀に生きていたエルフの乙女の名である。決して老いることのないエルフの身に生まれながら死すべき人間の男であるベレンを愛してしまった。そして全てのエルフの中で、ただルシアンのみが本当の「死」を迎えることになってしまったのである。
チャプター19 闇の短剣
風見が丘が舞台である。ここはアモン・スールという塔が建てられ、オルサンクと同じようにパランティアの一つが置かれていたが、かつての戦争でナズグルに攻撃されて塔は毀たれた(第三紀1409年)。
チャプター21 浅瀬への逃亡
トロルの森。石になった三人のトロルがいる。
この三人のトロルは、かつてはなれ山に向かうビルボと13人のドワーフを捕らえ、どうやって料理するかを話し合っていた。だがそれを逃れたガンダルフが、三人が言い争うようにうまくし向けた。その結果三人のトロルは時間を忘れて、似て食うか焼いて食うか生で食うかなどと話し合い、その結果太陽が昇って三人とも石になってしまった。
トールキンのトロルは、太陽の光を浴びると石になってしまう。ちなみにトーベ・ヤンソンのムーミンも、ムーミン・トロルというトロルなのは有名な話だ。
チャプター22 裂け谷
裂け谷(Rivendell)とはエルフ語ではイムラドリスと呼ばれる。元々は、後述のエレギオンがサウロンに攻撃されて戦火に荒廃した時、エルロンドがエルフの残党を率いて作った隠れ家兼避難所である。その後エルロンドはずっとこの地に留まり、伝承の大家として多くの人々に助言を与えてきた。はなれ山に向かう途中のビルボもこの地に立ち寄っており、フロドやサムはビルボからこの場所のことを聴いて知っていたのだ。
エルロンドは、映画のパンフレットでは単純に「人間の父とエルフの母を」と書かれているが、実際のエルロンドの血縁関係は遥かに複雑である。エルロンドは、両親(エアレンディルとエルウィング)共にエルフと人間双方の血が混じっていた。
エルロンドにはエルロスという兄弟がいた。エルロンドがエルフとして生きることを選び、エルフの不死を手に入れたのに対し、エルロスは人間として生きることを選んだ。そのためエルロスは寿命で死んだが、彼は人間の王国ヌメノールの王となった。その子孫がエアレンディルとイシルドゥア。つまりイシルドゥアの子孫であるアラゴルンも、エルロンドと血が繋がっていることになる。その世代は6000年以上離れているが。
この関係のため、エルロンドの館にはナルシルなどエレンディル王家の家宝が預けられ、アラゴルンら王家の子孫も裂け谷で養育された。アラゴルンは父を幼いときに亡くし、母のギルラインと共に裂け谷に身を寄せた。SEEではアラゴルンが裂け谷のギルラインの墓の前にたたずむシーンがあるが、原作ではギルラインは裂け谷で死んだのではなく、北方の同族の下で他界している。
ガンダルフの回想シーンに出てくる、ガンダルフを助けた鷲はグワイヒアという名で、人の言葉を話すことも出来る。彼はかつて、ビルボ達を助けたこともあった。
グワイヒアは、原作に登場するもう一人の魔法使、茶のラダガストが寄越したことになっているが、映画ではガンダルフが蛾を使って伝言を飛ばして呼んだように表現が変えられた。
チャプター25 折れたる剣
折れたナルシルは裂け谷に預けられている。ナルシルは、イシルドゥアの一行が殺される直前オークに包囲されていたとき、イシルドゥアに命じられて包囲網を脱出したオホタールという騎士が裂け谷に届けた。
チャプター27 エルロンドの会議
ボロミアの台詞を理解するには、彼の故国であるゴンドールの情勢を理解しなければならない。ゴンドールはサウロンがいるモルドールと大河アンドゥインを挟んだ地にあり、いわばゴンドールとの戦争の最前線だった。
ゴンドールは、イシルドゥアの弟アナリオンの子孫が王として統治していたが、やがてゴンドールの王の血脈は途絶えてしまう。それ以後は世襲制の執政が王の代わりに「王還りますまで」ゴンドールを統治した。ボロミアの父デネソールがその執政だが、ゴンドールにはやがて王の血を引く者が帰還するという伝承が残り続けていたのである。
ゴンドールには、アルノールという兄弟国があった。アルノールはイシルドゥアの子孫によって統治されていたのだが、やがてアルノールはナズグルの首領であるアングマールの魔王によって滅ぼされてしまう。だが王の血脈は残り続けていた。その末裔がアラゴルンであり、アラゴルンはゴンドールの王位を要求する権利を持っているのである。
チャプター28 母ギルラインの想い
ここでフロドはビルボから、つらぬき丸 ( スティング ) という剣を受け取る。この剣は、前述のトロルが住んでいた岩屋から発見された品である。ガンダルフの剣グラムドリングも同じところから発見された。
原作ではグラムドリングもつらぬき丸と同じように、オークが近くにいると光って持ち主に警告するのだが、映画ではその演出はカットされてしまった。
チャプター31 指輪 南へ行く
原作ではフロドは2ヶ月ほど裂け谷に留まり、その間にナズグルの動向などが調査され、それから出発している。
裂け谷を出発したすぐ後、廃墟の脇を旅の仲間が通り抜ける。これは柊郷、エルフ語ではエレギオンというかつてのエルフの都市の廃墟である。ここで力の指輪は作られたのだが、サウロンに攻撃されて荒廃してしまった。
チャプター32 雪のカラズラス
このシーン、CEでもSEEでも登場しているのだが、よく見ると他の旅の仲間が腰まで雪に埋もれているのに引き替え、レゴラスは雪の上を平然と歩いている。これがエルフの能力で、雪の上でも落ち葉が大量に詰まった森林でも、足音すら立てないという身の軽さが表れている。10人に1人くらいしかこの事に気が付かなかったそうだが……。
チャプター33 モリアの洞窟
モリアとは「暗き穴」を意味するエルフ語である。かつてドワーフ自身にはカザド=ドゥム(ドワーフ語でドワーフの館)、西方共通語ではドワローデルフと呼ばれていた。
さてモリアの事を説明する前に少しエルフとドワーフの歴史について説明しよう。「ロードス島戦記」など、エルフとドワーフが登場するほかの多くの作品でも、この二つの種族は仲が悪いということが表現されているが、これの起源も指輪物語である。これは、トールキンが創造したエルフとドワーフの歴史に多く密接している。
これは非常に複雑な話なのだが、簡単に説明すると以下のようになる。第一紀のエルフの王シンゴル(エルロンドの祖先にあたる)が、ドワーフに殺されるという事件があった。これはシンゴルが依頼した仕事にドワーフが過大な報酬の支払いの要求を行い、それに大してシンゴルが報酬の支払いを拒否した上激しくドワーフを侮辱したのが原因である。これによってドリアスのシンダール・エルフとノグロドのドワーフが戦闘状態になった。
しかし、全てのエルフとドワーフがこれに参加していたわけではない。そのため第二紀には、エレギオンのノルドール・エルフとカザド=ドゥムのドワーフとの間には友情があり、交易によって互いを富ましめていた。モリアの西門の扉の絵はエルフのケレブリンボール(三つの指輪の製作者)によって書かれた。モリアの扉がエルフ語の合言葉「メルロン(友)」で開くのもそのころの時代に由来している。当時はこの合言葉は多くのものが知っており、エルフもモリアを訪ねていたのだ。ガラドリエルもモリアに行ったことがある。
だが、先に書いたようにエレギオンはサウロンとの戦いで荒廃してしまった。するとドワーフはカザド=ドゥムの扉を閉ざして立てこもり、サウロンに抵抗した。これがモリアの名の由来である。サウロンもモリアの難攻不落さと屈強なドワーフの戦士たちの前に、外からモリアを攻略することは出来なかった。
世界で一番有名なドワーフというと、やはり白雪姫の「七人の小人」になってしまう。だがトールキンのドワーフについては以下の通り。
外見
人間より背は低く、平均身長120cm~150cm程度で非常にがっしりとしている。肌は比較的色白で、髪の色は赤、黒、焦げ茶など。男女共に髭を伸ばし、ドワーフ以外の種族には男女の判別は困難。 能力
アウレが、メルコールの支配する中つ国の暗黒の時代を生き抜くために作ったため肉体的にも精神的にも非常に頑強。恩も仇も忘れがたく、他人をなかなか信用しようとしないが本質的には誠実である。
寿命は200歳から400歳程度。耐久力も持久力も非常に高い。暗闇でも目が利く。 文明・文化
採掘と工芸の技術に非常に長け、多くの見事な武具や美しい装飾品を作り出し、時にはその品に魔法の力を込めることもある。その技術はエルフを凌駕するものもある。 住居
採掘の仕事場を兼ねる、地下や山岳をくり貫いて造った住居を造ることを好む。「洞穴」などというものではなく、その内部は非常に大きく、美しい。その中で多くのドワーフが共同生活を営む。 歴史
カザド=ドゥム(モリア)やはなれ山など、多くの地下宮殿を造ったが、オークや竜(ドラゴン)との戦争でそれらを奪われ、放浪の民となる者が増えた。冥王との戦いにはあまり、或いはほとんど関わっていない。 氏族
ドワーフは全て7人の父祖を先祖としていると彼らは信じており、その最長老はドゥリンの一族と呼ばれ、ドワーフ達の長と見なされている。 言語
ドワーフ自身の言語(クズドゥル)を持っているが、その言語はドワーフの秘密として他の種族には決して明かそうとはせず、他の種族と話をするときは、その種族の言葉を使った。 偏見
オークを強く憎んでいる。他の種族にはあまり関心を持とうとはせず、ドリアス滅亡の経緯でシンダールと確執がある。しかし他の種族とよく交易を行い、ノルドールとは共にアウレの教えを受けた身として比較的親しい。海を恐れて近付こうとしない。
チャプター34 暗闇の旅
ゴラムの名前は日本語版『ホビットの冒険』『指輪物語』ではゴクリ。これは彼がGollumと喉を鳴らすことから付けられた名前なので、日本語版の小説では日本語風に訳されている。彼の本名はスメアゴル。
ビルボとゴクリは霧ふり山脈の地下の洞窟で偶然遭遇した。そして道が分からなくなって途方に暮れていたビルボと、ビルボの剣(つらぬき丸)を警戒していたゴクリは勝負をすることになった。なぞなぞで勝負して、ビルボが勝ったらゴクリがビルボを出口まで案内する。ゴクリが勝ったらビルボを食ってしまうというものだ。ビルボは他にどうしようもなくなり、これに同意した(ビルボが指輪を置いて袋小路屋敷を去った後、一人で考え込むガンダルフがなぞなぞ遊びの事を呟いている)。
そしてなぞなぞをかけ合ううちに、ビルボはとっさに自分のポケットを指し「この中に入っているものは何だ?」という問いを出した。ゴクリは三回当てさせてくれといい、すべてはずれた。
ビルボのポケットの中には、ビルボがゴクリに出会う直前に偶然拾った指輪が入っていたのだ。だがこの指輪はゴクリの「いとしいしと」だった。ゴクリは勝負の結果にもかかわらずビルボを取って食おうとし、自分のねぐらに置いておいた指輪を取りに行った。その指輪で姿を消せば、ビルボの剣は怖くない。
だが指輪は見つからなかった。半狂乱のゴクリが襲いかかってくる直前、ビルボの手に指輪が滑り込んだ。するとゴクリはビルボの脇をそのまま走り抜けてしまった。こうして指輪をしていると姿が消える事を理解したビルボはゴクリのあとをつけ、そのまま洞窟の出口へとたどり着いた。出口で待ちかまえるゴクリを刺し殺そうという考えがビルボの頭をもたげたが、彼はその考えを「情け」のために捨て、大きくジャンプしてゴクリの上を飛び越えた。こうして彼は洞窟から脱出したのである。背後のゴクリの叫び声「バギンズめ、いつまでも憎むぅ~!」を聞きながら。
モリアについてだが、先に書いたとおり、サウロンは外からモリアを陥とすことは出来なかった。だがモリアの没落は内側からやってくることになった。ドワーフがミスリルを掘り進むうちに、地の底のバルログを目覚めさせてしまったのである。
ミスリルというと多くの人はファイナルファンタジーを思い出すのではなかろうか。しかしこれが始めて登場したのもやはり指輪物語である。ミスリルとは真の銀を意味するエルフ語で、モリアでしか発掘されない貴重な金属だった。非常に軽くて硬く、ドワーフの細工師は自在にミスリルを加工することが出来た。ミスリルは非常に美しかったので、エルフは特にこれを好んだ。ビルボがフロドに与え、フロドの命を救うことになった鎖かたびらは、ビルボがはなれ山のドワーフの財宝の中から受け取った品である。SEEでは「ビルボの鎖かたびらは、ホビット庄とその中にあるもの全部をあわせたより価値が大きい」という、原作にもあったガンダルフの台詞が追加されている。
それほどまでに貴重なミスリルを採掘するため、ドワーフはモリアを深く深く掘り進んだ。そして呼び起こしてしまったのがバルログである。
チャプター36 カザド=ドゥムの橋
この橋は元々ドワーフが外敵の侵入を阻止するために作った橋である。
今ではバルログというと、仮面と爪をつけたスペイン忍者の格闘家の方が連想されるだろう(*3) 。あるいはドラゴンクエストでバルログという名前の怪物が出てきたのを思い出す人もいるかもしれない。
バルログとは、あの怪物の固体名ではなく種族の名前である。第一紀には数多くのバルログが存在し、エルフたちを大いに殺戮している。
先に書いたとおり、第一紀の冥王モルゴスはバルログ「達」やサウロンを使ってエルフを大いに殺戮した。その後モルゴスは滅ぼされ、バルログもほとんどが消滅したと思われていた。だがその中の一体がこれを逃れて、モリアの地下に眠っていたのである。
このバルログによってモリアのドワーフの王は殺され、ドワーフ達は四散した。その後バーリンの一党がモリア奪回にやってきたのだが、やはり失敗してしまったのである。原作ではギムリはバーリンの運命を全く知らなかったわけではなく、音信不通だったバーリンの運命をやはり懸念していた。
チャプター39 ガラドリエルの水鏡
ガラドリエルは三つの指輪のうちのひとつ、水の指輪ネンヤの所持者である。何故ガラドリエルは一つの指輪を欲したのだろう。それには彼女の来歴を見る必要がある。
ガラドリエルはノルドールという種族のエルフである。彼らはかつて、中つ国の海のかなた、西方の至福の国に住んでいたが、冥王モルゴスに挑戦し、自らの王国を持ちたいと望んで中つ国にやってきた。ガラドリエルは中つ国帰還を果たしたノルドール・エルフの指導者の一人であり、中つ国のエルフの中で最も力をもつ者の一人だった。そして夫のケレボルンと共に統治することになったのがロスロリアンの国だったのだ。ガラドリエルは力を持つがゆえに危険なのである。
ガラドリエルとケレボルンの一人娘がケレブリアン。彼女はエルロンドの夫となった。つまり、ガラドリエルはアルウェンの祖母に当たる。原作では、アルウェンは時折ロスロリアンの地を訪れてそこで過ごした。
チャプター41 さらば ロリアン
SEEで追加された重要なシーン。ロリアンを出る前に旅の仲間は、フロド以外も全員ガラドリエルとケレボルンに贈り物を受け取っていた。
フロドには、エアレンディルの光を集めた水晶の瓶(玻璃瓶)が渡されたのはCEにも登場している。だが他に、全員にエルフのマントとブローチが与えられた。レゴラスはロリアンのエルフの弓を、メリーとピピンはノルドールの短剣を、サムはエルフのロープを渡された。これらの品は第二部以降で重要な意味を持ってくる。
アラゴルンはケレボルンよりこれからの旅の助言と、エルフのナイフを受け取っている。ロスロリアンに入る前にあれほどエルフを警戒していたギムリはすっかりガラドリエルに魅せられ、別れの品としてガラドリエルの髪の毛を三本受け取った。こう書くとボロミアだけ貰った物が少ないが、原作ではボロミアは金のベルトを受け取り、メリー、ピピンは短剣を受け取る代わりにボロミアと対になった銀のベルトを受け取っている。
また原作では一行は時の数えられないロスロリアンに「しばらく」滞在し、出発したときには一ヶ月が経過していたという話になっているが、映画ではそこまでは語られていない。
チャプター42 大河
川からモルドールに入る旅の仲間一行が見上げると、そびえ立つ巨大な石像がある。このアルゴナスの石像は、第三紀1340年に建造された。ゴンドールの北方の守りとして、イシルドゥアとその弟アナリオン(彼は最後の同盟の戦いで討ち死にした)をかたどって作られたものである。その奥に広がる湖がネン・ヒソイルで、そこから流れ落ちるのが、ボロミアを受け取ったラウロスの大瀑布である。
ここでは旅の仲間はオークに追跡される。ではオークについて。
外見
(人間から見ると)醜い外見。だが比較的人間に似ている。 能力
知識は高くなくても知能は低くはなく、実用主義の武具や道具などを作り、それで武装する。寿命はあるが、暴力的な生涯のために寿命を全うすることは滅多にない。持久力は高いが太陽の光を忌む。 文明・文化
好戦的で、しょっちゅう争いに身を置いている。農耕や狩猟より略奪を好む。オークのみでは大きな国家というものは作らず、部族単位で力によって支配された集団を作るが、冥王の意志の下に隷属している。 住居
洞窟などに住むことが多い。ドワーフの住居を奪って住み着くこともある。 歴史
第一紀はモルゴスの下に束ねられていた。第二紀はサウロンがその跡を継いだが、サウロンの最初の敗北後は小さな集団ごとにばらばらになり、サウロンが帰還すると再びその意志の下で動くようになったが、その一部はサルマンに取り込まれた。 氏族
ウルク=ハイ(ウルク)はオークを強化した種族。また小型のオークはスナガと呼ばれる。 言語
オーク語は部族同士で方言が酷く、他の部族のオークと会話するときには西方語を使っている。 偏見
エルフを憎み、極度に恐れる。他の種族の全て(或いは自分の種族も)を憎み、モルドールの力を恐れながら付き従う。アイゼンガルドのオークはサルマンに従属している。
モリアに入った直後、レゴラスが「ゴブリン」という言葉を出しているのに、字幕がオークだったということに気が付いた人も多いだろう。原作中ではオークとゴブリンはほとんど同じに使われている。
指輪物語は、西方共通語で欠かれた作品をトールキンが「翻訳」したという形で製作された。ゴブリンというのは純粋な英語であり、オークに相当する英語がゴブリンだというところである。
チャプター43 パルス・ガレンにて
ネン・ヒソイルの西と東にはアモン・ヘンとアモン・ラウ、見る山と聞く山があり、その頂上にはゴンドールの見張り台が作られていた。フロドが上って視力の届かぬはずの遥か遠方を眺めたのがアモン・ヘンだ。
チャプター48 オフィシャル・ファンクラブ・クレジット
SEEではスタッフロールの最後にひたすら続く名前、名前、名前がある。これはこの映画の公式ファンクラブの会員リストだ。実を言うと私の名"Satoshi Todome"も入っている。
原註
特に激増した腐女子のファンに対して……。
指輪物語は一つの指輪物物語でないのに、Ringsが単数形にされてしまった。またLordを「道」と勘違いしている人も多いようだ。
どうもカプコンには指輪物語のファンがいたらしく、ストライダー飛竜に出てくる空中船艦の名前もバルログ。もちろん馳夫 ( ストライダー ) とはアラゴルンの別名である。 一つ上の階層のページへ戻る