2002年3月23日に行われた「『WXIII 機動警察パトレイバー』公開記念・オールナイトde同窓会」のリポートを。
会場は満員で立ち見も出た。入場できなかった人もいるそうだ(右写真は明度補正かけたらレンズの汚れが目立ってしまった)。休憩時間の物販コーナーでは、ミニパトとWXIIIのプレスシート付き前売り券、そしてWXIIIのムック本『WXIII PATLABOR THE MOVIE 3 MANIAXX』と、30日より発売のパトレイバームック本『P-pack』の先行販売もあってそれに列を作る人々、そして休憩で煙草を吸いに行く人飲み物食べ物を買いに行く人トイレに行く人が交錯しロビーは大混乱の即売会状況になったのだが。
さて、まず最初のトークショーは、パトレイバーの声優4人、冨永みーな女史(泉野明)、古川登志夫氏(篠原遊馬)、大林隆之介氏(後藤喜一)、千葉繁氏(シバシゲオ)が登場した。
想像していたとおりだったが、千葉繁氏がやはり圧倒して喋りまくった。犬本3号でも語っていたが「(収録現場で)良い意味での戦い」が行われていたという話を繰り返していた。
まずは「歳取った」という話になる。千葉氏と古川氏は二人で、「みーなちゃんは(床上10cmくらいの所を指して)最初これくらい小さかったですからねえ(笑)」と話していたが、その冨永女史はパトレイバーが始まってからの14年の間に母親になったという事である(千葉氏「凄いですね、私は母にはなれませんから」)。
「歳の話は止めましょう」「育児の話じゃないんですから」と切り替えられ、「自分のキャラクターを始めて見たときの感想」だが、また千葉繁氏「笑っちゃいましたよ、まんま自分ですから(笑)」「キャラクター権欲しいくらいですよ(笑)」「アテレコじゃなくてアフレコ、アフターレコーディングみたいですからね、てめえの顔見ながらてめえの声あてるんですから(笑)」
そして大林氏の後藤隊長というキャラクターの話の時に、また千葉氏が突っ込んだ。「今まで演技の勉強してきましたけど、これほど一生懸命がんばらない人というのは初めてです(笑)」と、後藤隊長の演技について発言。大林氏と千葉氏の演技の対照について語られるが、大林氏が「だって俺、息吸うもん。(千葉氏は)息吸わないから、吐いてばっかだから(笑)」と揶揄した。そして千葉氏は(これも犬本3号で触れていたが)「(アニメは)人間の呼吸無視していますから」「アニメーターの人も、人間の呼吸考えて演出して欲しいですね」そして「ミニパトなんか拷問ですよ(笑)」と言うと、やはりミニパトに出演している大林氏が心から同意。更に千葉氏が「僕なんか口4カ所切りましたから」「それで押井さんが後ろでへらへら笑っているんですよね(笑)」大林氏も「脚本、漢字にルビ振ってくれ(笑)」などと零していた。
そこから押井氏に関する話になったのだが、また千葉氏「押井さんと一緒に新幹線で東京から名古屋に行ったことあるんですけど、新幹線の中3時間ラーメンの話でした(笑)」「一つテーマを振ると、3時間簡単に話しちゃいますからねえ、聖書の文句とか引っ張り出してきて、田植えの話とかにですよ(笑)」富永女史も「まともに話したのは一回だけなんですが、ずーっと喋られて、声が小さいから途中もごもごと聞こえなくなるんですけど、はあはあと頷いていました(笑)」
ここで司会の人が「押井さんにインタヴューした事があるんですが、犬の話をふっちゃった事あるんですよ(笑)」と言うと千葉氏「そりゃ駄目ですよ! 猫にマタタビやるようなもんですよ、あの人犬のためならウンコ食いますから(笑)」また古川氏は「本当に優しい人でね。紅い眼鏡という映画に出演したことがあるんですけど、あの時押井さんのシャツ着せて貰いました、押井さんの温もりがするシャツを(笑)」
そして(想像通り)千葉氏の喋りで時間オーバーした後、WXIIIのダイジェスト映像が流され、そしてWXIIIスタッフ・キャストのトークショートとなる。
改めてWXIIIについて簡単に説明すると、まずこの作品には押井氏も伊藤氏も関わっていない。出渕氏がとり・みき氏に「OVAのパトレイバーを作ろうとしているから脚本を書いて欲しい」という話を持ちかけ、ゆうきまさみ氏のコミックの話を元にしたものが作られようとしていたとき、それがいつのまにか映画になっていたのがこの話である。
その後ありとあらゆる紆余曲折(*2)の末、数年が経過してやっと完成したのがこの『WXIII(Wasted Thirteen)機動警察パトレイバー』である。
野良犬の塒はあくまで押井守サイトなのでこちらは簡単に紹介するに留めるが、平田氏は「すみません、あまり憶えてないです、かなり(収録したのが)前なので」と発言し、田中女史も「去年でも一昨年でも一昨々年でもない時に収録、とだけ申し上げておきます」と発言。更に平田氏は「(完成した映画を見たとき)絵が非常に綺麗で……またいけないことを言っちゃったかな?(笑)」「いやあ、スクリーンで見るとね。収録の時はTV画面で……これ以上は言わないでおきましょう(笑)」と、アテレコの時に絵が全然出来ていなかったという製作状況の混乱を暗示し、事情を知る観客が失笑していた。
またとり・みき氏は「(WXIIIの舞台挨拶で)是非押井さんに来て欲しいですね。そして押井さんが出渕君の首を絞めるとき、僕が出渕君を守る側になるのか、それとも出渕君を羽交い締めする側になるのか(笑)」(*3)と発言して笑いを買った(WXIII舞台挨拶の出演者はまだ未定との事)。
そしてWXIIIとミニパトのメイキング映像の後、今度はミニパト監督の神山健治氏、そして(アルタ前から捕まえて連れてきた人じゃないですよと紹介された)作画監督の西尾鉄也氏が登場した。
ミニパト制作の経緯などが語られたが、この辺はこちらにも掲載されている色々な記事と被るので省略させて頂く。
しかし、アニメーションがCGで制作される前に、西尾氏らが直接手で人形を動かした実写映像の話が語られ、「是非DVDに収録して下さい」と言われると西尾氏は「それで12,800円で売る、と(笑)」という揶揄(*4)。
また「あのおっさんは~」と言いながら押井氏に対するぐち(?)が色々と現れた。神山氏の苦労はとにかく「脚本が長かった」という事に尽きるらしく、押井氏が「俺も7分の話の脚本を書くという事が判ったよ」という事で上がってきた脚本を元にした第3話でも11分になってしまったそうだ。
そして『ミニパト 第1話』『機動警察パトレイバー THE MOVIE』『ミニパト 第2話』『機動警察パトレイバー2 the Movie』『ミニパト 第3話』の順での公開となった。ミニパトは本当に大爆笑で、How to Make TOKYOの時よりも遙かに笑いが上がったが、前回の観客が長い小難しいトークの後で疲れ果てていた為なのかは不明である。
ところでこの日は一般参加者にコスプレイヤーの方がいたので、折角だから赤い扉を選ぶぜ写真を撮らせて貰った。
また、物販コーナーでコスプレ売り子をしていたスタッフ側の女性がいて、上映終了後に最後まで残っていた西尾氏、神山氏と一緒に写真を撮らせて頂いたのだが、実はその人、パトレイバー劇場版DVD版パッケージに出ていた公式コスプレイヤー(?)の女性で、今回顔が出るのは始めてという事である。夏服だったので寒そうにしていたが。
原註