そして現在。イェルサレムで行われたパレスティナ人の非暴力抗議活動に、イスラエル警官が銃弾を撃ち込んでしまう。世界は一気に反イスラエルへと動き始め、アメリカはイスラエル政府を救うため早急に中東和平を纏めなければならなくなった。CIA情報担当副長官に昇進していたジャック・ライアンの、中東和平プランがにわかに注目され、彼自身も和平案を売り込みにイスラエル、そしてサウディ・アラビアへと飛ぶ。
その一方、失われていた核爆弾が再び見出され、イスラム・テロリストの手に渡る。彼らは核爆弾を再び使用可能状態にするために旧東ドイツの核物理学者の協力を得る。そして単なるテロの武器としてその核爆弾を使用するのではなく、更に壮大な作戦のためにそれを利用することを計画した。
冷戦は終わり、全面核戦争の脅威は去った。誰もがそう思っていた。だがその滅び去ったと思っていた亡霊が再び舞い戻る。
大抵のこういった作品ではどこぞの秘密基地が襲撃され(OP CENTERはそういう話だが)、それがそのまま使われるというパターンだったが、この作品では核物理学の知識が展開され、その核爆弾を「改造」して更に強力にしようという試みが行なわれている。その点、つまり核物理学の点においても興味深い作品となっている。
著者 | トム・クランシー |
訳者 | 井坂清 |
出版社 | 文藝春秋 |
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