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サンサーラナーガ2/プロモーション用  連載漫画『サンサくん』

第3話「バラモン海坊主の恩返し」

美しい海辺を――旅ゆくサーラ(主人公・女の子バージョン)とチビ竜。
前方に人だかり。人垣を割って顔を突っ込もうとするサーラ。なかなか入れない。 うるさそうに振り向く村人の一人、サーラのつれたチビ竜に仰天する。その声に一斉に振 り返る老若男女とりまぜた村人たち。蜘蛛の子を散らすように逃げていく。 人々が去った後に、ポツンと取り残されるサーラとチビ竜、そして――バラモン海坊主。 サーラ、何事もなかったかのように、そそくさとその場を離れようとすると、バラモン海 坊主、ハッシとサーラの裾を掴み、自分の背中のフジツボを示す。 サーラ、いやいや。 ド迫力で、にじりよるバラモン海坊主。 サーラ、のけぞって激しくいやいや。チビ竜の手をむんずと掴み、衝撃波を伴う猛烈な勢 いで地平の果てまで逃げていく。 どろんとした眼でサーラたちの去った方をじっと見つめるバラモン海坊主。
町の中――宿屋の前で、片手に白目を剥いたチビ竜をブラ下げたサーラ、バラモン海坊主 が追いかけてきていないことを確認して中に入る。
宿屋の一室。疲れてベッドに倒れ込むサーラ。 と、もこもこと盛り上がるベッドカバー。 サーラ、カバーをひん剥くと、ベッドの上に鎮座ましますバラモン海坊主。
宿屋のフロントで、親父に文句をいうサーラ。吹き出しに“南京錠”の絵など……

先の部屋よりちょっとリッチになった一室。ベッドの中を確認するサーラ。 よしよし、とトイレのドアを開けて、硬直する。 便座に手をかけ、便器の中からじっとサーラを見ているバラモン海坊主。(バラモン海坊 主の大きさは変幻自在。きわめてえ〜かげん、ということにします)
サーラ、無表情に、便所の詰まり取り(ゴムのしゅぽしゅぽ)でバラモン海坊主を便器に 押し込み、水を流す。
再度、フロント。再度、宿の親父にかけあうサーラ。
さらにリッチになった一室。めくられたベッドカバー。開け放たれたトイレのドア。衣類 を脱ごうとするサーラ、ふと思い直して、
浴室――浴槽の蓋を開けるサーラ。 ゆらゆらと揺れるお湯の中、浴槽の底にバラモン海坊主が張り付いている。
三度、フロント。チビ竜を連れ、憤然と出ていくサーラ。
疲れはて、はらたまのノレンをくぐるサーラ。
湯気をたてる一杯の月見そばを前に、割り箸を割るサーラ。いざ喰おうとすると――
背中に卵を乗せ、身体に「をからませて、丼鉢の中に浮上してくるバラモン海坊主!
サーラ、逆上。カウンターをひっくり返す。 ザッとサーラを取り囲む影――喰い物をオシャカにされた他の客たちである。 精一杯、可愛コぶって、特上の笑顔を見せるサーラ。
最初の海辺。沈む夕日に長い影をひいて、ズダボロになったサーラとチビ竜がやってく る。(チビ竜は無傷)
波打際近くで待っているバラモン海坊主、あいかわらずどろんとした眼でサーラを見つめ ている。 観念したサーラ、バラモン海坊主の背にまたがろうとすると、それを押し止めるバラモン 海坊主。 サーラ、怪訝。 バラモン海坊主の背中のフジツボにポッと、妖しげ、かつ、怪しげな花が咲く。 その花をサーラに差し出すバラモン海坊主。 サーラが花を受け取ると、しずしずと海に帰っていくバラモン海坊主。落日の海に一筋の 航跡を残して姿を消す。 呆然と見送るサーラ。その手の花、匂いが強烈なのかぶんぶんと虫がたかっていたりす る……


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