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攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(スタンド アローン コンプレックス) - 『攻殻機動隊』序盤の任務は…… - ファミ通.com
それで行なわれたトークショーについて。以下ほとんど文章を纏めず、聞いたままで記述しており読みにくい所もあるかと思いますがご了承を。司会は小黒祐一郎氏。まずI.G社長の、石川光久氏が入場。
石川「石川です。昨日サンフランシスコから帰ってきて、時差ボケも治っておらず、3時半集合だというのを13時集合だと勘違いしていたんです。それでDEAD LEAVESが上映されている近くのテアトル池袋に行ってきたら、レイトショーだということで今の時間やっていなかった(笑)。それでその映画館の前にラーメン屋があって列が出来ていたんです。そこ並んでいたら、前に並んでいるカップルが映画の話をしていたんです。『イノセンスってかっこいいよね、1G(いちジー)ってとこだよね、ジブリが製作協力って行ってるけどわかんないよね』とか話していて、『アイジーなんだ!』と突っ込みたかった(笑)。このトークショーに来た人は、アイジーということを広めて頂きたいと思います(笑)」
石川「サンフランシスコに、ジョージ・ルーカスのスカイウォーカーサウンド、スカイウォーカーランチがあるのですが、イノセンスの音響を録りに、1月4日から押井監督と2週間かけて音楽のプリミックスをしにいってきたんです。ジョージ・ルーカスはシャイな男で滅多に人に会わないんですけど、今回本人から『是非会いたい』ということで押井さんと会ってきたんです。ルーカスの話をこの場ではちょっと話せないので残念ですが、実際にルーカスと会ったら、社交的で印象が違うなと。
それで何がジョージ・ルーカスで感心したかというと、テアトル池袋に行くとイノセンスのジグレがあるんです。1万円するんですけど、これをジョージが凄い気に入って、この映像の作り方は何だとやたら聞くんです。それでジグレをルーカスオフィスの一番目立つところに飾ると本人言ってましたので。このジグレは数が限定ですので、今日8時50分テアトル池袋にいってですね、売り切れないうちに皆さん買ってください(笑)。ルーカスは『1000万円払っても買いたい』……とは言わなかったんですけど(笑)、買えばルーカスのオフィスにあるのと同じものが飾れるので(笑)」
石川「今回イノセンスの音響は、アカデミー(音響賞の)常連の、ランディ・トムら3人が主戦力でやった音なので押井監督は大満足していました。これは是非劇場に行ってみて欲しい」
石川「(DEAD LEAVESについて)これはですね、テアトル池袋で間違えて裏口から入ってしまったくらいなので、入り口と言うよりも裏口の作品ですね(笑)」
石川「(イノセンスは)アメリカではGHOST IN THE SHELL 2と言われているんですけど、これ以外の作品で何を作っているのかと必ず聞かれるんですが、DEAD LEAVESって何だとルーカスに聞かれたんですが、ヒットホップをアニメにしたらこれだと。本人はアメリカングラフィティを作ったり、リーゼント髪の若い頃の面影があるので、凄い興味があると……言ってないですけど多分そうです(笑)」
ここで、DEAD LEAVESの今井トゥーンズ氏、今石洋之氏が入場(どうでもいいが二人の名前が似ているので聞き分けるのに苦労する)。
今井「原作・企画を担当した今井です。一介のイラストレーターがこんな壇上に上がっているのが異様な雰囲気ではありますが、よろしくお願いします」
今石「IGの裏口作品を担当させていただきました今石です。今の裏口作品という社長の言い方は正しいと、色々な意味で裏口作品を作らせていただきました感じがありまして、非常に楽しかったです(笑)」
DEAD LEAVSEのトレイラーが放映されてからトークショー再開。
小黒「海外からのお客さんも来ているのに(トレイラーの台詞から)『すげーセックス』ですからね(笑)」
今石「『すげーセックス』ですよ(笑)」
小黒「これが裏口たる所以ですか」
今石「そうですね、当然表看板はイノセンスが背負って立っているわけで、僕がこの作品を制作している同じフロアで、真面目に丁寧にイノセンスを作られているわけで。普段僕はガイナックスというスタジオで仕事をしているんですが、そこからI.Gに呼ばれて監督するということを考えていると、普段I.Gが作っている作品のイメージとは違うものを作った方がいい気がしたので、そういう感じで作っています」
今石「少なくともイノセンスからは『うんこ』とか『ちんこ』とかいう言葉は出てこないので(笑)、なるだけI.Gの既存をイメージとは違う、『I.Gでこれをつくったの?』と言われるのが嬉しいくらいな、そういう感じで作っておりました」
石川「新宿のファンタスティック映画祭で(DEAD LEAVES上映に)小学校の娘を連れていって、かみさんにえらい怒られて、その日家に入れて貰えませんでした(笑)」
今井「(I.Gに企画を持ち込んだことについて)元々攻殻機動隊とかで知っているプロダクションなので、『頼もう』ということで恩を売って……はいないですが、プロデューサーの森田さんとはお知り合いだったのでコミュニケーションをとっていたのですが、海外向けのアニメの話があって、今井さん企画があったら出していただけませんかと、それで出したんですけど」
今井「元々は180度テイストが違っていて、ちんこうんこは出ていなかったです(笑)。やっぱり人のフィールドに企画を出す以上、一番最初にうんことかちんこというのがあったので(笑)。でも今石さんが作っているのは僕の中に存在することで、やりたかったものを見透かされているなと。別にうんこちんこだけがやりたかったわけではないですけど(笑)そういうテイストは共有しているものがあったので、見た感じは感動に次ぐ感動でした」
今石「確かにその通りではあるんですけど、今井さんが持っている作風の中にそういうのがあって、そこに共感して僕が仕事を受けた部分があったので、それを過剰に出してしまった部分はあるんですけど。気分とかテイストとかはやっている途中で変わっていますが本質的には通じていると思うので、そういう方向に振ってしまうことの迷いとかはなかったですね」
今石「今回初監督という事もあってですね、アニメ用のキャラクターやってコンテも演出も作画監督もやって、かなりの工程を一人で掛け持ちしてしまって、大変すぎてしまってですね(笑)、それは反省点ですね。今度監督やるときは人にやって貰おうと(笑)一人でやるものではないと実感しました」
小黒「秘話を紹介しますとですね、I.Gのカリスマアニメーターと呼ばれている人が、修正しなければならない修正原画が今石さんの机に山積みになっているのを、あんなに積んであるのを見たことがないというくらいだそうで」
今石「それくらい机の上に仕事をためてしまってですね。各部署を僕一人掛け持ちにしてしまったため、出口が一つしかない。そこで結果的にスケジュールが遅れることになってしまったんですけれども。そういう状況ではあったけど、その分僕の思った通りのフィルムに近づいているというか、クオリティは上がったと思うので、それを支えてくれるI.Gは凄いと思いました。なかなかこれだけ自由に作らせてくれる現場はないと思うので」
石川「今日イノセンスのことでちゃんとした話をしようとずっと考えていたんですが、DEAD LEAVESの事を考えるのを忘れちゃったんですよ(笑)。それくらい強烈なんですけど、今井さんキャラクターのキャラクターを動かすのがアニメーターにとってすごくしんどくて、2Dで全部書いた無謀とも言えることをやっているので、これは是非劇場で見て欲しいと思います」
今井「普段は2Dでイラストを描いているので、3Dに起こされるということを考えていなかったんですけど、アニメの表現方法としては正しいことでもあるし、今石さんだからというか、2Dで全てやり通して凄い量のセルが動いている、『どこもとまってねーじゃん』という、(画面が)4分割されて全部動いているとか凄いことをしているので、見る側からして原作から抜けてみても感動したし、クリエイターとしても凄い感動しました」
今石「3Dは1カットもありません。アニメそのものの動きの快楽を突き詰めようと言うのが今回特にあって、3Dでやって迫力が増すということもあって、3Dを使うということが頻繁に行われていますけど、そこを敢えて2Dでやることの意味というのが見つけられないかなと思いまして。3Dだけではなく、光のフレアとかディジタルエフェクトなども普通に行われているのですが、それも全く敢えてやらずに手で描いているものだけで空間とか動きとかを表現する。それをやるとどうなるかな、漫画っぽい形で見せられると面白いんじゃないかなと思ってやったのがあります」
小黒「でも、セル画時代にはなかったディジタルならではの点もありますね」
今石「それはそうですね、目に痛いくらいの極彩色であったり、技術的な話だと画面分割であったり、セル重ねが多かったり、そういう細かいところではディジタルの恩恵は十分に受けています」
今井「元々自分のイラストが結構派手目になっちゃうんで、そういうのはすごく今石さんは取り込んでくださっているなと思うんですけど。それが動いてトラックビデオみたいなのりが結果的に出てきているというか、プラスハイテンションな声優さんと池さんの劇中音楽と、新川さんのDJなど、派手派手加減がうまくリンクしていていい落とし方になっていると思います」
小黒「今石さんは今までアニメおたく的なフィールドでばりばりやってこられたんですが、今回この企画を得ておしゃれ系アニメのところに触れたかなと思うんですが、そのあたりはいかがでしょう」
今石「DEAD LEAVESをやる以前がそういう色合いの仕事が強くて、次はちょっとそれを抜いた仕事がしたいというのがあったんですが、今井トゥーンズさんのイラストのイメージがあったからこそ、そのイメージを作品に入れようと。それでおたく的なイメージとかは結果的ににじみ出てくるものは仕方ないけど、積極的には入れないようにしようと思いました」
今井「あんまりお洒落とかおたくとかいうフィールドは越えちゃっているんで、色んな人を取り込んで色んな人に見て欲しい、だからちんこやうんこやせっくすが出ているんだと思いますよ」
今石「いま言っていたことは正にその通りだなと思うんですけど、僕もおたく的なものは入れないようにとは言ったんですが、今井さんのイメージの中にもおたく的なものはあるんですよ。でもそれは限定されたアニメファンのものだけではなくて、世の中に当たり前にあるものとして消化していて、それはおたくだから入れているのではなく自然だから入れている。それがお洒落な方向に取られてもよし、おたくな方向に取られてもよし。そういう感じなんですよね。だから下ネタがいっぱい入っていますが、それは自然な感じを目指していると言えば目指しているんですよ(笑)。人間生きていれば糞もしょんべんもするし、そういうことを普通に面白がってもいいんじゃないかという、必要以上に上品にすることもないし、必要以上に下品にすることもないし」
小黒「今石さんが、まるで自分の欲求と関係なく作っているような真面目な話をしていますが、ちんこドリルというのは理屈で出ているわけではなくて描きたくて描いているんでしょう」
今石「そうですね、ちんこでかいといいなという(笑)。真面目な話は大体後付の理由だったりするんで(笑)。『これ思いついたからやっちゃえ』という(笑)。それが原点ではありますけど」
小黒「恒例なのでちんこドリルの話はしておかないとならないんですけど、映画見ると半分くらいの人がちんこドリルの話をしているんですね」
今石「重要なキャラクターでね、ちんこさんいないと終わらないんですよ(笑)。あのキャラがいないと下ネタが終わってくれないというか、そういう意味でのキーになるキャラクターなんですけど(笑)」
今石「『こいつがいるから真面目なことをやってもしょうがないよ』と諦めがつくキャラですね(笑)。でもキャラが立ちすぎて困りました。目立ちすぎて、他のキャラが何やってもこいつより目立たない(笑)」
今井「ちんこやうんこは掴みなので、見ていない方はそれで後込みしないでみてください、と一応言っておきました(笑)」
今石「(見所は)今話していて大体想像がつくとは思うんですけど(笑)、余りI.Gということは忘れて、ビールとか酒とかのんで、酒のつまみに見るくらいの軽い感じで、馬鹿なやつが映画作っているという(笑)そういう開放感に満ち溢れて欲しいという感じです」
小黒「I.Gが作ると馬鹿な映画もこんなに立派になるということですね」
今井「思ったよりは立派です(笑)」
石川「今井さんの名前どこから聞いたかなずっと思っていたんですけど、フリクリで中入れをやっている今石はすごいぞとみんなが言っていたんですよ。それが最初に聞いた印象で。フリクリはアメリカではTVでもオンエアされて、ニューヨークのプラザというファッションショーにこれの曲を作りたいというくらいクールだというんで、どの絵をとっても絵になる、それが凄いなと。一枚の絵の良さを追求した、それがガイナックスの良さで、その監督が今石さんだということで。フリクリがあってこれがあったので、是非見てください」