脚本=後藤みどり
絵コンテ=若林厚史
演出=山本秀世
作画監督=大久保徹
熊襲の酒呑童子が持つ勾玉を手に入れるため、鎮西に船を向けようとした光達。だが船は難破し、光は一人である浜辺に漂着していた。彼女が仲間を捜していたところ、熊襲の兵に襲われる。その時彼女を助けたのは万歳楽だった。彼は舞の奉納に行く途中で、一座の者とはぐれたのだ。女の姿として彼に会った光と万歳楽は、夜が明けるまで共に過ごすことにする。二人で焚き火にあたっている時、万歳楽は都の話を始めた。現在の都は、熟れすぎて腐った果実だという。さらに彼は、勾玉を集めている頼光について触れる。勾玉で都に平安が戻ったとしても救われるのは都だけ、他の地はどうなるのかと。光は、都が良くなれば次第に他の地も良くなると反論する。そんな彼女を、万歳楽「兄を信じているのだな」と静かに見つめた。夜が更ける中、更に二人は語り合う。
一方、一人でいた貞光の元には、彼に食べ物をねだる奇妙な子供が現われた。二人は熊襲に見つかって逃げ出す。そして彼らは卜部と、体調を崩したが卜部の介抱で回復した綱に合流した。
そこに熊襲兵が襲いかかってきた。次々と熊襲兵を倒していく綱と貞光だが、彼らの間を抜けた一人の巨漢兵士が、卜部と子供に襲いかかる。だが豪快に振り下ろされた兵士の戦斧を、なんと子供が受け止めたのだ。さらにその子供は斧の柄をへし折り、兵士を投げ飛ばして倒してしまった。
夜が明け、光が目を覚ますと万歳楽は去っていた。それから光は綱達に再会する。子供の姿を認めた光がその子供に名を訪ねると、子供は「金太郎!」と名乗った。
頼光四天王の最後の一人、金太郎こと坂田金時登場(OVAの怪童丸では坂田金時が主人公だった)。伝説上の怪童、金太郎が登場した最も古い文献は、近松門左衛門(1653~1724)の浄瑠璃「
坂田金時(公時と書くこともある)は頼光四天王の伝説的な武士で、今昔物語集にもその名が出ており、酒呑童子退治などにも登場しているが、そこでは初めて乗った牛車に酔っ払ったとか、金太郎とは結構イメージが違うらしい。坂田金時と金太郎が同一人物とされるのは江戸時代以降のことである。
金太郎伝説 - 岡山県勝田郡勝央町
静岡県小山町
金太郎のふる里 南足柄ホームページ
熊襲は古代の九州西南部の地域に居住した人々の事で、古事記や日本書紀には粗暴で反乱の志を持つ者として描かれている。『お伽草子』ではそのイメージがそのまま引っ張られているのだろうか、劇中では熊襲がはっきりと反朝廷勢力として描かれている。瀬戸内海を中心にした藤原純友の乱があったのは940年頃で、頼光の時代よりは少し前になる。
劇中では人名となっている
また、門付(芸能者が家々を訪れて芸を披露し、米や銭などの報酬を得ること。またそうする人)の芸にも万歳楽と呼ばれるものがあったという。
万歳楽